2015年02月02日
外国債券とJ-REIT
~投資の時間軸がポイント~ (3/3)
外債のスプレッドはJ-REITと比較すると大きくなりがち
- ところで、J-REITを買い付けたり、あるいは売り付ける場合には、株式と同じように委託手数料がかかります。一方、外債では手数料がかかりません(証券会社が提示する価格に、証券会社の利益分が含まれているため)。ただし、外債では、為替手数料がかかります。この手数料は、取引する会社によって異なります。また、取引通貨によっても異なります。一般に、取引量の多い米ドルについては、手数料は比較的低く設定されています。しかし、新興国通貨などの取引規模が小さい通貨については、高額となるケースもあります。
また、外債では、売りと買いとの差(スプレッド)は、J-REITに比較して大きくなりがちです。J-REITでは、たとえば「594000円売り・593000円買い(現在値)」といった呼び値です。このケースでは、売り買いの差(スプレッド)は1000円であり、現在値である593000に対して0.17%にとどまります。これに対して外債の場合、スプレッドが1%ならば小さい方で、大きければ5%を超える場合があります。仮に外債を買ってすぐに売ろうとすれば、買った値段よりも数パーセント安い価格でしか売れないということです。
J-REITの相対的に優れている点
- このようなスプレッドに差がある主な要因は、J-REITが取引所取引であるのに対して、外債が相対取引であるためです。J-REITの売買は取引所を通じて行われるため、多くの多様な投資家が取引に参加します。その結果、売りと買いの差(スプレッド)が縮まるというわけです。
これに対して、外債は証券会社が顧客の相手方となって売買を行う相対取引です。仮に、証券会社が顧客から外債を買い取った場合、その外債は証券会社の在庫となります。その際に、証券会社は、債券の値下がりリスクや為替変動リスクを負います。そのため、証券会社の買取価格と売却価格の差であるスプレッドは広くなってしまうというわけです。
ということで、外債は、たとえ高い利回りであっても、為替手数料が高ければ、簡単にはコストを賄えません。また、スプレッドも広いために、すぐに売却すると損が出ます。したがって、外債の場合は、中長期の投資にならざるを得ない点は留意しておくべきでしょう。これに対してJ-REITでは、トータルの取引コストが安い分、値上がり益を短期でも享受できるケースはあります。また、取引所取引でスプレッドが狭い(流動性がある)ため、換金性についても、相対的に優れていると言えます。
なお、税制面では、外債の利子とJ-REIT の分配金は、いずれも20%の源泉税がかかる点では同じです。
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