日本の土地百年研究会 (著)、他
今回取り上げるのは、100年というタイムスパンで日本の不動産に関する制度や市場の変遷を扱ったスケールの大きい作品です。
構成を見ると、まず序章で過去100年における日本の不動産に関する利用状況や制度、税制や金融の動きが簡単にまとめられ、以降の章から各時代の具体的な話が始まります。
第1章~第4章が明治から第二次大戦期まで、第5章~第8章が戦後復興期から昭和50年代、第9章~第10章が昭和60年代から平成9年頃、そして最後となる終章で今後の課題・展望を示すという形です。
第1章~第4章はやや遠い、なじみの薄い時代を扱っているように感じてしまいますが、三菱による丸の内オフィス街開発が明治まで遡ること、第一次大戦勃発による「大正バブル」では株価に先んじて地価変動率がピークを迎えていたこと、関東大震災からの復興といったトピックは、今との繋がりを感じさせ、参考にもなる面があるのではないでしょうか。
第5章~第8章は、第二次大戦の戦禍から復興し、やがて「もはや戦後ではない」と力強い宣言がなされ、そして列島改造論によって地価上昇の波が地方にも本格的に波及していきバブル前夜を迎えるまでが取り上げられています。都市の過密化、不動産鑑定評価基準や地価公示制度の制定、民間金融機関による住宅ローン取扱いの開始と現在に直接関係する制度や慣行が始まり、定着していく時代です。
第9章~第10章はバブルの生成とその崩壊後の時代です。ここまで来ると「実際に体験した」「リアルタイムでニュースを見た」という出来事が増えてきます。ここまで読み進めてくると既視感を覚える出来事もまた多いことに気付かされます。
「愚者は体験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言ったのは、「鉄血宰相」で有名なビスマルクです。彼は日々起こる様々の出来事に右往左往せず、それらの背景や根底にあるものにじっと目を凝らして戦略を構築し、誕生まもないドイツ帝国を列強の一角に押し上げました。
現在の日本の不動産市場も人口減時代の到来やインバウンド投資の進展等で大きな変化を迎えています。そんな時だからこそ、事態がどのように展開していくか長期的な視点に立ち、判断することが求められます。そのお供として「日本の土地百年」の歴史を振り返ってみるのは如何でしょうか。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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