川口有一郎 (著) 他
前回のブックレビューは日本不動産市場の過去を掴むための一冊を紹介しましたが、今回取り上げるのは将来に視線を伸ばした一冊、日経BP『不動産マーケットの明日を読む』です。
「当たるも八卦、当たらぬも八卦」という言葉があるように、未来を予測することは大変に難しいものです。しかし、行き当たりばったりの出たとこ勝負を避け、より悪くない選択肢、より勝率の高そうな選択肢をものにする方法がないわけではありません。それは現在の情勢を把握し、それがどう動いていくか予測シナリオを組み立てて適宜調整を加えて利用することです。
そこで本書を見てみると、金融と経済の論点、不動産市場の論点、住宅市場の論点、海外の不動産市場と住宅市場の論点、以上の4部構成で国内外の不動産市場とそれを取り巻くマクロ経済環境の現状やそこから執筆陣がはじき出した予測、将来展望がまとめられています。
TOPIXと首都圏住宅価格指数(日本不動産研究所)との意外な関係性、不動産投資家の予想・期待に対する日銀異次元緩和の影響如何、中国や米国の住宅市場の動向といった興味深いデータの数々は勿論、弊社セミナー等でお馴染みの早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授の川口有一郎教授を中心に、三菱UFJ信託銀行不動産コンサルティング部、住宅金融支援機構調査部、早稲田大学不動産金融研究会という錚々たる執筆陣が、それらのデータからどのような将来予測を引き出しているのかを知ることができるのは本書の大きな魅力です。さらに、掲載されたデータから自分なりの予測を導き出し、執筆陣の予測と比較するという楽しみ方も可能でしょう。
現在の不動産市場、ピーク観が漂いつつも依然資金流入は活発という先が読みにくい状態ではありますが、危難に出くわす可能性をできるだけ減らす、出くわしてしまっても可能な限り被害の少ない道を採る、そのために必要な「考える力」を鍛えるには格好の一冊です。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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