今回は、野村不動産投資顧問株式会社 宇木 素実氏に合併やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。
略歴:宇木 素実(うき もとみ)氏
91年4月野村不動産株式会社 入社、事業企画や資産運用事業に従事。2006年4月野村不動産投信株式会社、08年10月 野村不動産インベストメント・マネジメント株式会社JOFI運用室長、その後同社事業企画部長、ファンドマネジメント部長を経て、11年10月野村不動産投資顧問株式会社 営業部長、15年10月より同社取締役兼常務執行役員 NMF運用グループ統括部長、NMF運用グループ ファンドマネジメント部長嘱託(現職)。
野村不動産投資顧問株式会社(以降、野村不動産投資顧問)では3つのREITの運用をしていました。
最初にオフィスを投資対象とする野村不動産オフィスファンド投資法人2003年12月上場(以降、NOF)、次に居住用施設を投資対象とする野村不動産レジデンシャル投資法人2007年2月上場(以降、NRF)、そして物流施設及び商業施設を投資対象とする野村不動産マスターファンド投資法人(以降、NMF)が2013年6月に上場していました。
一番大きなポイントは外部環境の変化です。
NMFの上場後にアベノミクスの影響もあり、不動産を含めたマーケットの回復が大きく進展しました。そのため物件価格が上がり、J-REITのIPO(新規上場)やPO(公募増資)が増え、物件取得の環境が激化しました。
現在の物流施設のマーケットでは、多くはスポンサーが開発した物件を保有REITへ売却する状況です。そのため物件取得が難しく、ほとんど外部から取得できないという状況だったのです。同様に商業施設においても外部からの物件取得は、マーケットの環境が良くなってきたこともあり、徐々に価格が高騰したこと、また、REITとして購入したいある程度規模のある物件が少なかった背景がありました。
このような外部成長が限定的な状況の中でも、マーケットでは内部・外部成長含めREITとしての成長を求められました。しかし、NMFの運用する物流施設及び商業施設は、契約期間が長いテナントが多く、非常に安定したポートフォリオであるという側面がある一方、マーケットが変わったからといって簡単に賃料を上げてはいけませんので内部成長についても限定的な状況でした。また、外部成長においても、新規物件取得による分散効果と更なる安定成長を実現していくためのスピードが、予定通り進まなくなってきていました。
また国内及び海外の投資家の方との面談の中でも分配金、資産規模の成長についての質問が多く出ていた頃でもありました。そして、どういう形で成長していくことが有効か考えていたところ、ちょうど2015年のタイミングで税制改正が正式に決まり、その年の春に今回の合併の要件を満たす「正ののれん」の償却費等の税会不一致に相当する金額の利益超過分配が損金算入可能になったことが大きなポイントになりました。
この税制改正が決まった状況下で、NMFとして合併という選択肢についても検討を重ねていった結果、NOF、NRFとの3REITの合併が今後の成長にあたって大きな親和性があると判断しました。
NOFは、徐々にオフィスマーケットが良くなっている状況で、賃料収入のアップが見込める成長性のあるセクターとしてNMFに組み込むことで内部成長が図れるということでした。
ただしオフィスだけでは、物流施設及び商業施設(一部商業施設は成長セクター)の安定セクターのファンドにボラティリティの高いオフィスセクターの比率が高くなってしまいます。そこでNRFの居住施設もポートフォリオに加えることで、成長型セクターと安定型セクターのちょうどバランスの良い総合型のREITが作れると考え、2月にNMFから2つのREITに対して合併の申し入れを行いました。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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