2016年5月31日 国土交通省開催
続いて不動産市場の現況についても国土交通省側から説明がなされました。ここでは、国土交通省自身が公表しているデータの他、内閣府や日銀が公表しているデータを使いながら経済全般の状況も含めた説明が行われました。注目される事項を抜き出すと、次のようになります。
・世界経済は緩やかな回復基調にあるが、新興国の減速も継続中
・日本では個人消費が力強さを欠くものの、企業の設備投資には持ち直しが見られる
・不動産市場の活況は実体経済を踏まえたもので、過熱状態にはないと考えられる
・Jリートの物件取得額は2013年に過去最高の2.2兆円を記録した
・Jリートの資金調達は活発だが、借入と並んでエクイティ・ファイナンスが活発なこともあり、レバレッジの高まりは見られない
・金融機関の不動産業に対する貸出スタンスは緩和しているが、融資額の全産業に占める割合を見れば、リーマンショック前の水準を超えて増加しているわけではない
・マイナス金利導入は資金調達コストの低下や利回り格差の拡大によって不動産投資にプラスの効果をもたらすと考えられるが、一方で「政策効果を見極めたい」とする投資家の様子見姿勢を助長している可能性がある。
以上のような国土交通省側からの説明に対し、委員からは「マイナス金利導入によって金融機関や年金基金は資産運用方針の見直しを迫られており、その結果、不動産への注目が高まっていることが現場の雰囲気として感じられる」といった声が挙がりました。
当日最後のテーマとなった「2020年以降を見通した不動産投資市場の中長期的課題」では、委員の側から、「東京の国際的競争力の向上はダイバーシティーが鍵を握っている。一案として外国人が英語だけで生活の全てをまかなえる街区を設置するといった大胆な手も考えられるのではないか」、「公的不動産活用を推進するというが、たとえば現在の税法ではコンセッションが特定資産に含まれておらず、これがリートの当該分野への進出を阻んでいるのではないか」、「海外の経済成長を取り込むために海外不動産への投資を活発化させるという目標はいいが、そのためには、海外不動産の鑑定評価を如何にに低コストかつスピーディーに取得・開示できる体制を築く必要があるだろう」、「不動産の鑑定評価や取引形態について、日本基準を採用してくれる国をどう増やしていくか、あるいは外国に受け入れてもらえるような日本基準をどう作り上げていくか考える必要がある」と活発な意見表示が相次ぎました。
委員の意見・提案の中には、税制をはじめ国土交通省の所管にとどまらないものもありました。しかし不動産投資市場の活性化が「日本再興戦略2016」(素案)や「経済財政運営と改革の基本方針2016(仮称)」(素案)に盛り込まれ、政府が一丸となって取り組む姿勢が鮮明になっただけに、今回委員から出された意見・提案がどれだけ具体化してくるか目が離せません。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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