今回は、平和不動産アセットマネジメント株式会社 市川 隆也氏に業界動向やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。
財務運営については、①安定した財務基盤の構築、②有利子負債比率(LTV)のコントロール、③資金調達手段の多様化、④金融コストの低減を志向していますが、これまでの方針を特に変えるものではありません。借入期間の長期化、金利の固定化および返済期限の分散化を進めることで、金利変動の影響を受けにくい財務基盤を構築する方針です。また、LTVを適切にコントロールすることによって、金融環境に左右されない資金調達を行い、安定した外部成長を図りたいと考えています。
2017年6月には、2009年10月に平和不動産にスポンサー企業が交替してから初となる投資法人債の起債を行いました。起債の目的は有利子負債の長期化、資金調達手段の多様化でしたが、有利な条件で発行できたことから、負債コストも大きく削減することができました。今後についても、調達手段の多様化や金融コストの低減を考慮しながら積極的に活用したいと考えています。
金利については、日銀のマイナス金利政策の影響もあり、資金調達コストは低減しています。今後満期を迎える借入金の金利は、最近の資金調達コストを上回っていることから金利低減余地は大きく残っており、将来においても調達コストの低下が分配金の押し上げに繋がっていくものと期待しています。
第31期末時点の金利固定化比率は75.6%です。本投資法人の歴史においては比較的低い水準にとどめていますが、低金利の恩恵を受けるために変動金利の比率を高めに設定したことによるものです。しかし、足元の金融環境には変化が見られます。国内では日銀の金融政策がいきなり方向転換するとは考えにくいものの、米国の利上げや欧州の金融政策の方向転換を受けて、国内金利がさらに低下していくという期待は弱まっていると見られます。このように不安定な金利環境に備えるため、2017年6月の投資法人債発行で固定化比率を79.1%まで引き上げ、今後は90%を目安にさらに引き上げていく方針です。
本投資法人は鑑定評価額ベースのLTVを重視しています。
第31期末時点の鑑定LTVは43.2%でした。非常に居心地のよい水準ですので、ここを軸に保守的にコントロールしていこうと考えています。
不動産価格の上昇に伴い、ポートフォリオ全体の鑑定評価額が増額となる一方で、鑑定LTVは低下基調となっています。旧ジャパン・シングルレジデンス投資法人との合併直後における第18期(2010年11月期)末時点の鑑定LTVは54.5%でしたが、優良物件の取得、2012年から2015年までの4年連続の公募増資、賃料上昇などの内部成長に伴う鑑定価格の上昇を通じて持続的に低下しました。鑑定LTVの持続的な低下は財務基盤を強化し、それが将来の成長余力の拡大に繋がると考えています。鑑定LTVの上限については50%を当面の目途としていますが、仮に50%まで引き上げた場合において、有利子負債による物件取得余力は248億円と試算しています。このため公募増資しなくとも外部成長はできることになりますが、最近の不動産価格の高騰の折、本投資法人は外部成長を慎重に進める方針であるので、一気にこの水準まで引き上げることはありません。新規物件の取得資金を借入金で調達する場合には、その物件の収益性とともに調達コストや1期当たりの返済金額を見極めて判断する方針です。
不動産市況の継続的な改善という面もあるのでしょうが、本投資法人の既存物件の管理や修繕、稼働率の向上、賃料の増額改定といった内部成長への努力の結果があったと考えています。また、既存物件は減価償却の進展と不動産価格の上昇により含み益が5期連続で拡大しています。そして、新規物件については、物件取得時に含み益のある物件を厳選して取得した結果が反映されていると見ています。第31期末時の鑑定評価額は1,833億円、含み益は約220億円です。含み益率は+13.6%であり、4期連続で上場来最高水準を更新しています。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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