7月3日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
7月3日、いちご株式会社が都心を中心に不動産事業を展開する株式会社セントロの全株式を取得したと発表した(以下、それぞれいちご、セントロ)。
買収したいちごは、オフィス、住居等約50億円(2017年3月末時点の簿価)を保有するセントロの買収により、大きなシナジー効果が期待できるとしているが、より注目されるのは、今回の買収によって本社ともどもいちごの傘下に入ったセントロの100%子会社ストレージプラスだろう。
ストレージプラス株式会社(以下、ストレージプラス)はトランクルーム・レンタル収納を扱う屋内型ストレージ事業を展開しており、同業他社と比較した場合のセキュリティと空調管理システムの水準の高さを強みとしている。
日本でのトランクルーム・レンタル収納サービスの市場規模は、業界大手である株式会社キュラーズの調べによると約510億円(うち屋内型は約259億円を占める)。米国の市場規模約1.8兆円に比べると小ささが目立つが、今後も都心部への人口流入や不動産価格上昇による居住スペースの縮小を背景に堅調な成長が見込まれている。
トランクルーム・レンタル収納サービスの市場規模が2兆円に迫ろうとしている米国では、トランクルーム(セルフストレージ)が既にREIT組入資産として定着しており、特化型REITが5銘柄存在する他、既存物件の約10%がREIT保有物件で占められている。
日本でトランクルーム(セルフストレージ)がREITの取得物件として定着し、さらには特化型REITが登場するまでまだ時間を要するだろうが、REITの組成で実績を持ついちごが今回の買収で傘下に収めたストレージプラスを通じてどのように事業展開をしてくるか、中長期的に興味深いテーマである。
7月7日、年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)が2016年度末時点の全保有銘柄(国内債、国内株式、外国債券、外国株式)を公表した。
機関投資家としては世界最大級ともいわれる運用資産を誇り、市場への影響も大きいGPIFだけに、今回の保有銘柄公表は情報の透明性という点から評価できよう。
公表内容からJ-REITに関係するデータを見ると、国内債券約47.9兆円のうち投資法人債は約156億円(国内債券全体比約0.033%)を占め、国内株式約35兆円のうちJ-REITは約684億円(国内株式全体比約0.2%)を占めている。このうち国内株式におけるJ-REITの保有比率は、J-REIT市場の時価総額が株式市場の時価総額(それぞれ年6月末時点)の約1.78%であることを考えるとまだ低い数字だと言える。
今後、J-REIT買増しがあるか、或いはオルタナティブ投資枠で現物不動産への投資が進むか、GPIFの動向が注目される。
7月3日週の物件動向だが、主だったものとして以下の案件が発表された。前回に引き続きプロロジスの登場である。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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