主催:大和不動産鑑定株式会社 特別講演開催!建築家 安藤忠雄氏
2.2017-2018不動産市場の展望
続いては、不動産市場の分析で活躍されている御三方、ドイチェ・アセットマネジメントの小夫氏、三幸エステートの今関氏、ニッセイ基礎研究所の竹内氏によるパネルディスカッションが行われました。
まず不動産市場を取り巻く経済環境について、竹内氏は二つの「かけい」リスクが燻っていると指摘しました。一つ目の「かけい」は、加計学園問題に代表される国内政治の不安定化、もう一つの「かけい」は家計セクターの所得が伸び悩んでいることです。この二つのリスクが顕在化すると、日銀の金融緩和政策の今後や日本経済の将来見通しについてネガティブな雰囲気が金融市場、ひいては不動産市場を覆ってしまうと見られます。それだけに8月予定の内閣改造で安倍政権が安定性を取り戻し、経済重視の政策を打ち出していけるか気になるところです。
不動産市場の先行きについては、今関氏と竹内氏が空室率と成約賃料の推移、そして物件供給動向から2020年第3四半期頃に調整期を迎えるのではないかとの見方を示しました。「調整期」と聞くとかつてのバブル崩壊やリーマンショック崩壊の経験から身構えてしまいます。しかし両氏は今回の不動産市場の好調さは、バブル期の製造業、リーマンショック直前期の外資企業といった強力な牽引力を欠いたマイルドな上昇とし、「山低く谷浅し」で調整期もピーク時に比べて成約賃料ベースで2割程度の下落に留まるのではないかとも指摘しました。
ドイチェ・アセットマネジメントの小夫氏は、海外投資家のスタンスについて、香港やニューヨーク、ロンドンに比べてまだ投資妙味のある東京への関心は根強いとしつつも、低金利で資金調達が容易な国内勢に買い負ける展開が続き、投資を手控えている状態と説明しました。その上で今後迎えるであろう調整期は、海外投資家にとっては「押し目買い」のチャンスとなり得ること、また東京やその近郊で進行しているオフィス街から住宅街への転換が新たな投資機会を生み出す可能性を指摘しました。
最後は台湾での学会出席から帰国したばかりの川口有一郎教授(早稲田大学 大学院経営管理研究科)が特別ゲストとして壇上に立ち、現在から2020年の不動産市場の動きは、東京がグローバルメガシティとして生まれ変わるための胎動期間として位置付けられるだろうという見方を示してパネルディスカッションを締めくくりました。
3.土地の価値を上げる
最後は、建築家として世界的な名声を確立した安藤忠雄氏の講演です。
常に地球儀を傍らに置いて世界的に仕事の展開を考えているという安藤氏ですが、神戸や直島、イタリア・ヴェネツィアやフランス・パリ等での仕事で考えたこと、感じたことを時に失敗談も交えながらユーモラスに語りました。
その中の「単純な損益計算だけに基づいた仕事からはいいものは生まれない」、「仕事をしている方が没入できる、面白いと思って進められる中から人に感動を与える建築物が生まれるし、それが人を惹きつけて土地の価値を上げていく」という言葉には多くの人が頷いていました。
また話の内容が多岐にわたった一方で一貫して「何かこの会社、自分にしかできないことを常に考えていかないといけない」と強調されていた点は特に印象的でした。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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