皆川 典久(著)
広大な関東平野に位置し、徳川幕府の昔から現在に至るまで日本各地からヒト・モノ・カネを惹きつけて発展してきた大都市東京。そこは日本における政治と経済の中心であり、J-REITによる物件取得もその5割以上(取得価格ベース)が東京23区を対象として行われています。
その東京の街を実際に歩いてみると「東京は平野の都市」という説明に疑念を感じてしまうほど、そこかしこに坂道やアップダウンを抱えていることに息切れとともに気付きます。
このような高低差を東京に与えたのは、西から広がる武蔵野台地を削り、幾つもの谷を形成した雨や川の働きでした。東京とは「平野」という言葉から連想しがちな単に平板な土地ではなく、長い時間をかけて形成されてきた台地と谷の凸凹構造の上に築かれた都市だったのです。
この台地と谷が織りなす凸凹構造を「スリバチ」と名付け、そこに築かれた東京各所の街並み、景観の楽しみ方を説いたのが、今回取り上げる『凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩』です。
本書では東京の中から六本木や雑司が谷、田園調布や日比谷といった15のエリアを選び、その地形的な特性が街並みにどのような影響を与えているか写真や図版を多数交えて平明に説明しています。
そんな本書からは、不動産分析という観点からも実に有益な情報を引き出すことができます。
例えば、スリバチの底にある土地には周囲に降った雨が湧水となって噴出します。これが公園となって街に潤いを与えることは間違いありませんが、一方でそこに住んだり建物を建てる場合には水や湿気への対処が必須となってきます。
逆にスリバチの上、台地に住んだり建物を建てる場合は、長く水の浸食に耐えてきた場所だけあって堅固な地盤を期待できる一方、底との高低差がバリアフリーや自動車の出し入れという点で不便をもたらしてしまうかもしれません。
こうした街並みが発している情報のキャッチの仕方を肩ひじ張らずに学べるのが本書の魅力と言えますし、本書の読了後は、漫然と見送るだけだった街角の風景が以前とは違った輝きを放ってくるかと思います。
かつて「書を捨てよ、町へ出よう」というキャッチフレーズが一世を風靡しましたが、2018年は本書を持って町に出、街並みが発する情報を五感で感じながら足腰と不動産分析力を鍛えるのは如何でしょうか。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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