都井 清史(著)
投資家やお金の貸し手が安心してお金を投じることができるよう、企業の経営成績、財務状況を可能な限り正確かつ簡明に示すために作成されるのが損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、株主資本変動等計算書の所謂「財務諸表」です(特に重要性の高い損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書をまとめて「財務三表」とも言います)。
一方で悲しいことではありますが、昨今の大企業の不祥事にみられるように、経営成績や財務状況について虚偽の情報で粉飾した財務諸表を作成・公開し、意図的に投資家やお金の貸し手に誤った判断をさせようとする事例も度々発生しています。
今回取り上げる「粉飾決算企業で学ぶ実践「財務三表」の見方【増補改訂版】」は、そんな過去の粉飾事例を題材に、企業の不正が財務諸表のどこに現れるのか、投資家やお金の貸し手は企業に騙されないように財務諸表のどこに注目すればよいのかといった具体的な知恵を授けてくれる一冊です。
本書は、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、株主資本変動等計算書の読み方を具体的な粉飾事例に基づいて説明してくれる第1章、より細かく財務諸表の注記部部分で注意すべき点を挙げた第2章、大企業に比べて市場の監視がより効きにくい中小企業の財務諸表で注意すべき点を挙げた第3章という構成になっています。
その中でも読み応えがあるのは、やはり第1章。
具体事例とともに財務諸表の見方を説明するという書き方のため、ほぼ240ページという本書の分量の中で200ページ程度を占めるボリュームとなっています。
個人的には、世間の注目を大きく集めた(株)東芝の事例や黒字倒産という衝撃的な最後を遂げた(株)アーバンコーポレイションの事例を取り上げたキャッシュフロー計算書の説明がとりわけ面白く読めました。
13世紀チベットの高僧サキャ・パンディタは「ずるい人は言葉で騙すので、正直者はよく吟味する必要がある。騙された後で私は正直者だと自讃して何になろうか」と説いています。
残念ながら、全ての企業が善良で正直とは言い切れない世の中、企業が発する「財務諸表」という言葉の吟味の仕方を本書で学ぶのは如何でしょうか。
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