2018年12月期(第34期)決算説明資料
今回取り上げるのは、2019年2月19日に開示された日本プライムリアルティ投資法人の第34期(2018年12月期)決算説明会資料です。
同投資法人は、東京建物株式会社(以下、東京建物)をメインスポンサーとして、オフィスと商業施設を投資対象とする複合型のJ-REITです。
資産規模(取得価格ベース)は2019年2月14日時点で約4,350億円、用途別の構成比率(取得価格ベース)はオフィスが約77%、商業施設が約23%です。
同投資法人の投資方針上ではオフィスを70%以上から90%以下、商業施設を10%以上から30%以下としていますので、投資方針に添ったポートフォリオ構成になっています。
同投資法人の第34期運用状況は総じて好調で、順調な内部成長を背景に10期連続増配となり、1口当たり分配金は7,326円と19年6月期での中期目標として公表していた「1口当たり分配金7,300円」を前倒しで実現する結果になっています。
2016年12月期に7,000円に到達してから掲げている目標7,500円に関しては、内部成長とともに外部成長の上乗せで達成を目指すとしています。
そのような状況下、同投資法人の決算説明会資料で注目されるのが、「投資対象資産の拡大」です。
これまでオフィスを主軸としつつ商業施設への投資を行ってきた同投資法人ですが、今回、「都市型ホテル」への投資も検討中であることを決算説明会資料に記載しました。
前期決算説明会でもホテル投資の検討を行っていることを口頭で示し、アナリストからの質問を受けていました(※1)が、今回は説明会資料で明示(※2)したことから取得の蓋然性は高くなったと考えられます。
投資主総会の承認も必要な事項であることから現時点ではあくまで検討中という姿勢ですが、同投資法人としてはポートフォリオの10~30%(取得価格ベース)を商業施設・ホテルに割り当て、繁華街や交通利便性に優れた地域へ宿泊特化型ホテルを長期固定賃料契約で組み込んでいくイメージを持っているようです。
投資法人の投資対象資産の拡大について最近の事例では、商業施設特化型であったケネディクス商業リート投資法人が物流施設も投資対象に追加した例があります。
不動産売買市況の高止まりや用途毎の収益環境の変化によって、厳しい物件取得環境が続けば続くほど、外部成長の活路として「投資対象資産の拡大」に魅力を感じる投資法人は増えていくものと思われます。
ただし、投資用途の拡大は、スポンサーが複数の銘柄やファンドを運営している場合にコンフリクト(競合)リスクを拡大する可能性が高くなることを意味します。
同投資法人のメインスポンサーである東京建物は、同時に私募REIT「東京建物プライベートリート投資法人」の単独スポンサーでもあります。
東京建物プライベートリート投資法人は、オフィスを中心に商業施設や住宅、ホテルやヘルスケア施設等に幅広く投資する総合型のポートフォリオ構築方針を採用しています。
したがって同投資法人が投資対象にホテルも加えることは、両投資法人の投資対象に関して、重複する部分が増えてしまうことも意味します。
実際に同投資法人の投資対象にホテルが追加されるのは、投資主総会(2019年9月上旬開催の見通し)で投資法人規約の変更が承認されてからとなりますが、物件取得環境が厳しい中で「投資対象の拡大」を継続的な外部成長に繋げていけるのか、そしてスポンサーがホテルの売却を行う場合に、同投資法人と東京建物プライベートリート投資法人のどちらを優先させるのかが注目されます。
※1:2018年6月期決算説明会 質疑応答要旨に拠る
http://www.jpr-reit.co.jp/ir/library/uploads/180824-211525e947.pdf
※2:決算説明会資料P15に記載
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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