2008-06-03
Ⅱ.今後の課題と投資リスク
1.為替リスク
まず、為替のリスクヘッジ方法が問題になります。
長期的なリスクヘッジは、金利が低い日本円にとってディスカウントとなるため、当面は1年程度の為替予約を行った場合に日本円ベースでの利回りを投資家に提示する必要があると考えられます。
但し、株式との分散投資商品としての側面から、為替リスクをJ-REITが負うことには疑問があります。
株式市場で評価される企業は、収益の大半を海外で稼ぎ出すことため、為替リスクには相対的に弱いことになります。
一方で、現在のJ-REITは直接的には為替リスクとは無縁の存在であり株式投資との分散効果が期待できる投資商品であるため、今後為替リスクを負う投資商品になる必要性が薄いと考えているからです。
2.税制・法令リスク
J-REITにとって実質的に最大のリスク要因となっている点が、外国税額控除です。
外国税額控除とは、外国での納税額を国内での納税額から控除できる制度ですが、国内の法人税が課税されていないJ-REITの場合、控除できる税額が存在しません。
つまりJ-REITは海外で不動産を取得した場合、投資国での納税負担がそのまま発生してしまうことになります。
この点を回避するためには、SPCを組成し現地での法人課税を受けない形にする必要があります。
しかしJ-REITは、他の法人(但し、資産流動化法に基づく特定目的会社を除く)に対して50%を超える出資を行うことができません。
つまり海外SPCを組成するためにはスポンサー会社など他の投資家とJ-REITが相乗りするしか方法がないことになります。
3.運用体制
現在のJ-REITの資産運用会社は極めて少ない人数で運用しています。
しかし、不動産の法的な適合性等いわゆるデューデリジェンスに対する慎重な姿勢が求められています。
資産運用会社単独の運用では負荷が強いため、上記2の通り、SPCを組成する時に投資家となるスポンサーの協力が不可欠になるでしょう。
4.情報開示
取得価格の妥当性を示すために、投資を行う国の不動産マーケットの説明が必要になります。
また投資国に関するカントリーリスクや賃貸借契約の特異性など説明が必要となる要素は多くなります。
Ⅲ.投資スキーム
上記Ⅱ-2の通り、外国税額控除の問題がクリアできない場合には、SPCでの保有が必要となります。
この場合トラックレコードを積むために、スポンサーがSPCを設立し物件を取得した上で、その後J-REITがマイナー出資(50%以下)を行う形が適切であると考えられます。
Ⅳ.有望な投資先
まず、アメリカ・イギリス・ドイツ等の先進国で、不動産のトラックレコードが豊富な国が投資対象として適格だと考えられます。
新興国は、今後の経済成長が見込めますが、不動産投資のトラックレコードが少ない国はダウンサイドリクスが大きく、また新興国の場合、為替変動が大きい傾向が強いためこの点もリスクを増幅する要因と言えます。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
---|---|---|
2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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