2024-01-26
1. 直近のJ-REIT価格動向
2024年年初から1月24日までのJ-REIT価格は、2023年末に急落した反動もあり上昇した。東証REIT指数は12月25日に1,768ポイントまで下落した後、上昇に転じ1月22日には1,844ポイントまで回復した。
一方で、高値更新を続ける株式市場と比較すると、J-REIT価格は11月下旬の水準を回復しただけであり、出遅れ感が強まっている。日銀のマイナス金利政策解除がJ-ERIT価格の「重荷」になっているが、2024年の相場展望でも解説した通り、業績面への影響は少なく、過度に警戒されていると考えられる。
2. 買い手不在感が強かった2023年
2023年の差引売買金額を過去と比較すると、買い手不在感が強かったと言えるだろう。
図表1は直近5年の年間ベースでの差引売買金額を月額換算したものだが、2023年は証券会社(自己売買)が相場を支えた形となった。金融機関も3億円と僅かではあるものの買い越しとなっているが、これは生損保が月平均で21億円の買い越しを行ったことが影響している。
2021年には外国人、2022年は外国人と投資信託が買い越しとなり、J-REIT価格の上昇を支えていた点と比較すると、2023年はコロナ禍の影響を受けた2020年よりも買い手不足の1年となった。
3. 外国人投資家の買い越しが期待できる理由とは
図表2の通り、2023年の売買動向を月別に見ると、2022年後半からJ-REIT価格を支えていた投資信託が8月以降大幅な売り越し主体に転じた。一方で、外国人投資家が2022年前半以来となる買い越し基調に転じ、J-REIT価格を上昇させた。特に7月の大幅な買い越しで東証REIT指数は1,900ポイントを超える場面もあった。
株式市場が好調な状態が続く間は投資信託の買い越しが戻る可能性は低いと考えられる。従って外国人が2021年のように大幅な買い越しとなることがJ-REIT価格上昇の条件となりそうだ。
その点では、外国人投資家がJ-REITへ投資拡大する条件は整ってきている。
1点目は、米国10年債利回りの低下だ。一時5%程度まで上昇していたが、2024年に入り4%程度まで低下している。まだ高い水準ではあるが、さらに低下基調が続けば外国人投資家の買い越し拡大も期待できそうだ。
2点目としては、海外REIT市場の回復が挙げられる。最大のREIT市場である米国REITは米国10年債利回りの上昇で2023年夏までは下落基調であったが、その後は反発し、年間で13%を超える上昇となった。J-REITは海外REITと比較しても出遅れ感が強くなっており、その点に投資家の関心が向けば大幅な買い越しとなりそうだ。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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