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「REITキーマンに聞く!」ジャパン・シニアリビング・パートナーズ株式会社 藤村 隆氏
今回は、ジャパン・シニアリビング・パートナーズ株式会社 藤村 隆氏にヘルスケア業界と ファンドの特徴をインタビュー形式でお話していただきました。
――2015年6月に国土交通省より「病院不動産を対象とするREITに係るガイドライン」が公表されました。
J- REITによる病院不動産への投資が可能となり、有料老人ホームなどが中心でしたが投資対象が多様化されると思われます。
病院不動産を組み込むためにどのような課題や対応があるのでしょうか?
まず投資という観点ではリスク分析が重要なポイントになるでしょう。
単純な不動産投資では片付けられないオペレーショナルなリスクが高いアセットであると思います。
またシニアリビング施設もオペレーショナルなリスクがあり、どのように分析し、モニタリング、リスクマネジメントしていくのか、REIT運用会社の力量が問われているところだと考えています。
――病院REITは、賃料が収益になるのでしょうか?
病院REITの役割は、病院施設のハード面を安定的に供給することなので、病院経営にアドバイスする経営改善を図るためのパートナーとは役割が違います。
今までは事業再生ファンドのようなものが、病院に投資をした例がありましたが、REITはあくまでもハード面に関して、保有し維持管理してインフラを提供することに役割が限られています。その対価として固定の賃料をもらい、投資家に安定的な配当をしていく。所有者としての役割という中で社会貢献をし、病院と相互信頼関係を構築していく位置づけだと認識しております。
まだまだ病院側とのコミュニケーションができていない部分もあり、病院からはREITは不透明な存在に見えるのかも知れません。
REITがどういう役割なのかをご理解していくため、積極的に病院側とコミュニケーションを図っていく必要があると思います。
現在の分析では、こういう病院施設をREITに組み込みたいと思っても、医療法人にREITを活用するという考えがないのが大半ではないかと思います。
また、再生が必要な医療法人を組み込むことは、賃料の安定性を考えると投資しづらい状況になります。
やはりお互いのニーズが一致するケースは多くは無いと認識しています。ただし、世の中の病院の中には、一定のニーズが存在するという感触はあります。