REIT注目記事
日銀は金融緩和補完措置を出し、政府はPFIを後押し
12月14日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
12月14週のニュース概観だが、まず金融市場全体に関するものとして18日の日銀の政策決定会合で決定された金融緩和補完措置が注目されよう。REITに関しては、個々の投資対象銘柄の買入限度額が従来の発行済投資口比5%から10%に拡大された。たびたび市場で囁かれていた「投資対象銘柄の買入額上限到達」懸念は当面遠のくこととなった。一方で買入対象のA格銘柄への拡大は温存される形である。なお11月1日から12月18日まで日銀のREIT買入額は131億円(11月1日~30日が83億円、12月1日~18日が48億円)。
その他のニュースだが、15日に安倍首相を会長とするPFI推進会議の第8回が開かれた。当該会議は、国や人口20万人以上の地方自治体、独立行政法人等に対し、事業費10億円以上の公共施設整備事業や単年度1億円以上の運営事業を目安として積極的にPPP・PFIの検討・導入を進めるよう求めている。具体的な事例としては、既に仙台空港がPFI案件(コンセッション方式による)として東急不動産を中心とした企業連合設立のSPCによって運営されることが決定しており、こうした動きが政府の後援でどこまで広がるか、そしてインフラファンド市場の活性化に繋がるか注目される。
16日には、東京都市圏交通計画協議会(関東地方整備局と首都圏地方自治体、その他関係機関で構成)による「第5回東京都市圏物資流動調査」の結果公表があった。当該調査によると、東京都市圏の物流施設の約3割は築30年以上で老朽化・機能の陳腐化が進んでおり、耐震性をはじめとした防災性能への注目、Eコマース市場拡大を背景とした小口多頻度輸送の一般化、輸送効率向上を目的とした大型トラック(最大積載重量10トン超)の普及といった需要サイドの変化に十分対応できない状態だという。2002年のプロロジス参入以来、外資系企業やファンドが主導する形で大型先進的物流施設の開発・供給が活発に進められてきたが、依然として物流施設の需給緩和は遠いようである。
物件動向
12月14日週の物件動向だが、竣工も含めて以下の3件のニュースがあった。内訳は商業施設1件、物流施設2件。
- a. 東京都中央区:銀座5丁目再開発計画
- サッポロ不動産開発(サッポロHD傘下企業)等が銀座で進めている再開発計画だが、14日に建設する商業施設の名称を「GINZA PLACE(銀座プレイス)」とすることが決まった。建物の規模は地下2階地上12階建ての延床面積約7.4千㎡。2016年夏の開業を目指しており、各階には主にレストランやカフェ等が入る予定である。
- b. 大阪府藤井寺市:「レッドウッド藤井寺ディストリビューションセンター」計画
- 日本や中国、シンガポールで物流施設の開発・投資を手掛けているレッドウッドグループだが、14日、大阪府藤井寺市で開発中のレッドウッド藤井寺ディストリビューションセンター敷地内で遺跡が発見されたと発表した。同社は遺跡調査に協力すると同時に物件の1階エントランスを遺跡展示用にデザイン変更するという。当該物件の規模は地上5階建ての延床面積約18万㎡。元々2016年12月竣工を予定していたが、今回の遺跡発見とそれに伴う調査や計画変更によって竣工時期は2017年3月に後ずれすることになる。
- c. 千葉県八千代市:「GLP八千代」計画
- GLP(GLP投資法人のスポンサー企業)とCPPIB(カナダの公的年金運用機関:カナダ・ペンション・プラン・インベストメント・ボード)との合弁事業として千葉県八千代市で開発が進められてきた大型マルチテナント型物流施設が、17日に竣工を迎えた。物件の規模は地上4階建ての延床面積約7.2万㎡。既に株式会社興伸の入居が確定している他、複数企業と賃貸借契約について交渉中だという。