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「REITキーマンに聞く!」株式会社ミカサ・アセット・マネジメント 東野 豊氏
今回は、株式会社ミカサ・アセット・マネジメント 東野 豊氏にマーケット動向、スポンサー変更やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。
――現在のポートフォリオの特徴は?
首都圏、近畿圏、中京圏の3大都市圏で84%、残り16%は、札幌市、仙台市、福岡市等です。ワンルームタイプが64%、ファミリータイプが36%程度です。1物件の規模は約11億円、築年数約12.5年です。2008年までに取得した約1,000億円、2010年の合併により取得した52物件約530億円、現経営陣で取得した43物件約830億円に対して、25物件約150億円を売却しました。その結果、現在では約2,200億円の資産規模となっています。昨年9月末時点の鑑定評価額から簿価を引いた含み益は、179億円、全ポートフォリオの8.8%と改善中です。
2010年から、取得・売却の方針に沿って、原則5億円以下の首都圏以外にある小規模物件を売却し、1物件10億円以上(築年10年以下)の物件を首都圏及び人口が増加している都市で新規取得しています。なお、投資法人合併により獲得した配当積立金の残高が現時点においてまだ約68億円ありますので、今後、物件売却時に損失が発生しても対応が可能です。
月額賃料に関しては、20万円以下のものが全体の約96%と一般の方が入居しやすい水準になっています。以前は、広尾にあった富裕層・外人向けの物件を保有しており、月額賃料200~300万円という部屋がありましたが、中長期的な安定性を重視して2011年に売却をしています。
また、賃貸借契約ですが、1棟まるごと第三者にマスターリースすることは、賃貸業務の軽減や賃料の固定化等のメリットもありますが、その反面、マスターリース先が優良企業であった場合でも、解約リスクが現実化した場合には収益への影響が大きいため、極力排除をしています。
※ポートフォリオの概況:日本賃貸住宅投資法人HPサイト (http://www.jrhi.co.jp/ja_cms/portfolio/outline.html)
――例えば築20年を超えてくる物件、長期修繕を行わないといけない物件に関しての基準などはありますでしょうか?
クオリティ・利便性等、物件の相対的な競争力を考慮して、追加投資の判断を行っています。客観的に見て妥当と判断される場合は、必要に応じて資金を投入しています。
資本支出になる追加投資を行った場合でも、減価償却費が年間約34億円ありますので、十分吸収が可能です。
――しっかりと物件のサイクルを作っている感じがしますね。
有難うございます。他REITとの合併やその後の資産の入替えを行ってきました。
リーマンショック後の2009年のポートフォリオの平均NOI利回りは、5.0%まで低下しましたが、物件の入替えだけでなく、稼働率の改善、賃貸事業経費の削減により、現在は5.6~5.7%に改善いたしました。
――財務戦略上、気を使っている所は?
総資産LTV比率を重要な指標としています。当面の目途は53%程度としています。現在は51%程度のため当面は借入により物件を取得していく方針ですが、レバレッジ・コントロールを保守的に行う方針です。また、今後3年間で総有利子負債の約7割に相当する約800億円の銀行借入金の期日が到来しますので、リファイナンスの都度金融費用の削減に注力したいと考えています。