REIT注目記事
J-REIT、2月売買代金が史上最高額を記録
2月29日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
2月29日週で注目されるニュースとして次のものがあった。
まず3月1日に東証が発表した「2016年2月の売買状況について」、J-REITの2月売買代金額が史上最高額を記録したことが判明した。金額は1兆4,294億円。今までの最高額は2013年4月の1兆1,886億円だった。加えて2016年2月J-REIT売買代金額は前月比でも約2倍増となっており、1月末の日銀マイナス金利導入を受けてJ-REIT売買が非常に活性化したことが窺える。一方、J-REIT先物の2月売買代金は約231億円。こちらは過去と比較して取り立てて目立つ金額ではなかった。
同じ3月1日、外資系総合不動産サービス大手のJLLが森井総合鑑定株式会社(以下、森井総合鑑定)の全発行済株式を同日付で取得したと発表した(買収額は未発表)。森井総合鑑定は1948年創業の独立系不動産鑑定会社で、今まで上場、私募問わず多くのJ-REITに鑑定等のサービスを提供してきた。近年、日本を含めて世界的に不動産投資のボーダレス化が進んでおり、そこから派生する多様な投資家ニーズの取込を狙ってJLLは今回の買収に踏み切ったと見られる。
なお買収後も森井総合鑑定は引き続き独立とブランドを維持し、経営陣の変更も発生しない。
物件動向
2月29日週の物件動向だが、以下の4 件があった。うち2件は開発敷地内に存在する歴史的建築物の保存・活用を織り込んだ開発計画内容が報じられている。官民挙げて海外からの観光客を取り込もうとする動きが活発化する中、歴史的建築物の保存・活用は今後さらに重要性を増してくるだろう。
- a.神奈川県横浜市 :「『北仲通北再開発等促進地区地区計画』A-4 地区」計画
- 3月1日に三井不動産レジデンシャルが発表した大型複合施設開発計画。地上58階建て、延床面積約16.2万㎡の大型ビルを海に面した立地に建設するもの。ビルは住居、ホテル、文化施設等としての利用を想定しており、今年10月に着工して2020年に竣工予定。
なお開発地区内には旧横浜生糸検査所付属倉庫事務所(横浜市指定有形文化財)や生糸倉庫群が存在するが、計画では耐震補強や解体後復元保存といった措置を講じて文化交流施設として利用される。 - b.愛知県名古屋市:「(仮称)錦二丁目」計画
- 3月3日に三菱地所が着工を発表したオフィスビル開発計画。こちらも開発敷地内に歴史的建築物が存在する。計画では、地下1階地上21階建て、延床面積約4.5万㎡のビルを新設するとともに敷地内の「旧名古屋銀行本店(名古屋市都市景観重要建築物指定)」は商業施設として保存・活用する。
オフィスビルの建設も旧名古屋銀行本店の保存・改修工事も2018年2月末に完了する見込みだが、オフィスビルは既に三菱東京UFJ銀行の入居予定が組まれている。 - c.奈良県奈良市:「大宮通り新ホテル・交流拠点事業」計画
- かつて「県営プール跡地活用プロジェクト」と呼ばれた奈良市三条大路 1丁目の総敷地約3.2万㎡を舞台とした大型再開発計画。そのホテル部分の開発等を担当している森トラストが、3月3日に国際的ホテル大手マリオット・インターナショナルを誘致すると発表した。ホテル名称は「JWマリオットホテル奈良」で2020年春の開業を予定(客室数150、延床面積約1.5万㎡)。
マリオット・インターナショナルにとっては初の日本進出、そして奈良県にとっても初の国際ブランドホテル受入れとなるが、建設計画地は平城京跡や東大寺、興福寺、唐招提寺へのアクセスも容易で、内外の観光需要の取込みが期待される。 - d.沖縄県国頭郡:「(仮称)瀬良垣ホテル事業」計画
- 3月3日に東急不動産、NTT都市開発、ミリアルリゾートホテルズ(オリエンタルランドの100%子会社)が基本協定契約の締結を発表した。
それによると、上記3社が共同で設立した会社が瀬良垣ビーチ周辺の約4万㎡の区域でホテルを開発、所有、経営を行うという(発表時点でホテル運営者は未定)。
当該計画や瀬底ビーチのように、最近の沖縄ではミニバブル期に計画され頓挫していたリゾート・ホテル計画が新たな開発者を迎えて復活する事例が増えてきており、今後が注目される。