REIT注目記事
不動産取引価格情報の取得がより便利に
3月28日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
3月31日、国土交通省が不動産投資市場の成長を目指した情報基盤整備措置を2つ発表した(いずれも開始日は4月1日)。 まず1つ目は、APIによる不動産取引価格情報の提供開始である。これにより、データ利用者はデータを逐次ダウンロードする手間をかけることなく最新データが利用可能となる。
2つ目は、CSVファイルのダウンロード機能拡充である。従来は特定の地域の取引価格情報を取得するには各年の四半期ごとにまとめられたCSVファイルを1つずつダウンロードするしかなかったが、今後は複数の四半期データ(例えば、2014年第1四半期から2015年第4四半期までのデータ)を一括してダウンロードできるようになる。
今回の動きも含めて、最近の国土交通省は不動産投資市場活性化に向けた施策を矢継ぎ早に展開している。これが利回り確保やリスク分散に悩む内外の投資家への活路提供、或いはReal Estate Techといった新産業の創造、ひいては日本経済の持続的成長に繋がることを期待したい。
また31日は年度末ということもあり、各企業からも新年度以降を見据えた様々な発表が相次いだ。その中で注目されるのが以下に挙げるケネディクスとシーアールイーの発表である。
まずケネディクスだが、「ケネディクス自然電力ファンド」を共同設立することで自然電力株式会社と合意したと発表した。当該ファンドは太陽光や風力、バイオマス等の再生可能エネルギー発電所を投資対象とし、出資額は最大80億円、総資産規模は最大400億円程度をそれぞれ想定している。複数の国内金融法人が出資者として参画するという。
次にシーアールイーだが、100%子会社ストラテジック・パートナーズが宅地建物取引業法第50条の2第1項に規定される取引一任代理等の認可を取得したと発表した。当該認可は不動産投資法人の資産運用を行う上で必要となるものである。
シーアールイーは、2015年7月期決算説明資料において物流施設を主要な投資対象とする不動産投資法人を2016年7月期中に組成し、将来的な上場を目指すと発表していた。その目標実現に向けて具体的な一歩が印されたといえる。
※国土交通省:不動産取引価格情報検索 (http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet)
物件動向
3月28日週は以下の3件の物件開発に係る報道があった。新橋駅周辺での再開発事業が立て続けに発表された週であった。
- a.神奈川県横浜市:「(仮称)MM21-54街区プロジェクト」
- 3月28日に清水建設が発表したオフィスビル開発計画。横浜市西区みなとみらい21地区内に、地上18階、延床面積約10万㎡のオフィスビルを建設するというもの。2017年3月頃に横浜市と用地売買契約を締結し、同年夏頃に着工、2019年度内に竣工というタイムスケジュールを見込んでいる。
また、当該発表において清水建設は不動産投資開発事業を建設事業に次ぐ収益の柱として積極的に推進していく考えを示した。 - b.東京都港区:「新橋駅西口地区市街地再開発」計画
- 3月28日、新橋駅西口地区再開発のために地権者らが準備組合を設立し、野村不動産とNTT都市開発が事業協力者として参画することが判明した。当該計画は、SL広場やニュー新橋ビル、そしてそれらの隣接地の一部を含む2.8ha(2.8万㎡)の敷地を舞台に、商業機能の更なる集積、交通拠点としての機能強化、避難スペースの整備等を目的とした再開発を推進していくというもの。具体的な内容は今後の策定待ち。
- c.東京都港区:「東京都港区西新橋1丁目」計画
- 3月31日、三井物産が、同社の100%子会社三井物産都市開発が東京都港区西新橋1丁目での複合オフィスビル建設に向けて一部周辺敷地地権者と基本合意書を締結したと発表した。計画は三井物産都市開発所有地及びその周辺を含む約8千㎡の敷地に地下2階地上27階、延床面積約10万㎡の複合オフィスビルを建設するというもの。今後、2018年に着工し、2021年に竣工を迎える予定。