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イオンリート投資法人、2件目の海外物件取得へ
4月25日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
4月25日、イオンリート投資法人が、当該投資法人としては2例目(J-REIT全体としても2例目)となる海外物件の取得を発表した。取得対象となるのはマレーシアにある商業施設「イオンモール セレンバン2」。イオンリート投資法人は現地で不動産取得・保有用の法人(海外SPC)を設立し、当該SPCの株式100%を取得することで間接的に物件を取得・保有する。
従来より「J-REITの発展には、日本とは異なる景気サイクルを持つ海外の不動産取得が欠かせない」という声は根強くあったが、J-REITが海外SPCに50%超の出資を行い間接的に海外不動産を取得・保有することは法律で長く認められず、J-REITの海外不動産取得には税制やリーガル・リスクといった高い壁が立ちはだかっていた。それが2014年12月1日に施行された改正投信法によってクリアされ、今回、具体的な案件として実を結んだのである。
「2020年頃にリート等の資産規模を約30兆円に倍増させる」という大胆な不動産投資市場成長目標を掲げる国土交通省も目標実現の一環としてJ-REITの海外不動産取得を後押しする考えを示しており、今後、イオンリート投資法人に続く海外投資の動きがどれだけ出てくるか興味深い。
4月26日、東証が「投資家・市場参加者にとって望ましいREITの情報発信事項(ケース・スタディ集)」を公表した。これは昨年12月に行われた「REIT有識者ミーティング(座長:川口有一郎・早稲田大学大学院教授)」の結果を取りまとめたもので、投資法人や資産運用会社が行っている情報発信についてより投資家の利便性を高めることを意図したものである。
当該レポートで提案されている改善項目は、各投資法人が掲げている投資方針と実際の資産運用状況との関係・繋がりをよりわかりやすく説明する「ビジョン」の発信、そして個々の運用資産について鑑定評価書の概要のwebサイト掲載(実は私募REITでは既に一般的)と多岐にわたっており、今後、各投資法人の開示資料やwebサイトにどう反映されてくるか注目される。
※JPXサイトより「投資家・市場参加者にとって望ましいREITの情報発信事項(ケース・スタディ集)の公表について」
4月27日、かねてより上場インフラファンド市場への参入を目指していたスパークス・グループが計画見直し(実質的断念)を発表した。今回の見直しに至ったのは、想定していた再生エネルギー事業への投資形態で上場しても法人税非課税の対象となれず、非課税対象になるように投資形態を変更する場合は各種契約見直しをはじめ大きな負担が発生するためだという。
最近の上場インフラファンド市場だが、タカラレーベンによる投資法人の上場決定やいちごグループホールディングスの参入準備開始の発表が相次ぎ、にわかに活気づいてきた観があった。しかし、今回の一件でそこに水を差されてしまった格好である。
物件動向
4月25日週は、特に目立った物件の開発・竣工情報はなかった。