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阪急電鉄、民泊サービスの展開を後押し
6月6日週のニュース概観
概況
阪急電鉄は「SI創業応援ファンド投資事業有限責任組合」を通じ、法令順守の上で民泊サービスを展開している株式会社百戦錬磨に投資を行っている。
6月8日、その百戦錬磨が関西営業拠点を会員制スタートアップ支援オフィス「GVH#5」(運営:阪急電鉄)に開設し、関西圏での民泊サービスを本格展開するという発表があった。
訪日外国人観光客の急増のみならず空き家の有効活用という面からも注目を浴びる民泊だが、一方で各種法律との整合性や居住者とのトラブルの可能性について懸念する声もある。2016年6月10日時点で、民泊について明示的な形で対応方針を公表したJリートはレジデンシャル系を中心にまだ無いようだが、米国では昨年末に、集合住宅居住者に民泊向けの部屋貸出を認めるのと引き換えに民泊収益の一部が建物運営会社に入るようにするという方向でサービス大手のAirbnbとUSリート3社が協議を行っていると報じられた。そうした動きを踏まえると、阪急リート投資法人のスポンサーでもある阪急電鉄が民泊サービスの展開を後押ししていることは興味深い。
※東証の公表データに基づきJapan REIT(株)作成
6月10日、東証より2016年5月REIT投資部門別売買状況が発表された。結果をグラフ化したのが上記の図だが、目を引くのは、2月~4月と大きく買い越していた海外投資家が、5月になって売り越しに転じたこと、そしてそれとは対照的に、2月~4月と売り手に回っていた銀行、投資信託が5月は買い手になったことだろう。
2014年11月の海外投資家の積極的な買いと平仄を合わせる形で急速な上昇を見せた東証REIT指数は、その後、銀行、投資信託の安定した買入によって2015年7月まで1850~1900ポイントの高原状態を維持し続けた。それがいったん崩れた後、2016年2月から再度海外投資家の買入が活発化して東証REIT指数は再度1850~1900ポイントのレンジまで戻ってきた。これを銀行、投資信託が買い支える構図が再度みられるのか、注目される。
物件動向
6月6日週は以下の3件の物件開発動向が報じられた。
- a.東京都葛飾区:「立石駅南口東地区第一種市街地再開発事業」計画
- 6月7日、野村不動産及び阪急不動産は、両社が「立石駅南口東地区第一種市街地再開発事業」計画に傘下組合予定者として事業参画することが決定したと発表した。当該計画は京成電鉄押上線立石駅南口東地区(約1ha)に大型複合施設を建設しようとするもので、2017年度内に本組合設立を目指している。
- b.東京都千代田区:「(仮称)OH-1計画」
- 6月8日、三井物産及び三井不動産は、大手町一丁目2番地区で推進中の当該再開発計画について起工式を行ったと発表した。当該計画は約2.1万㎡の敷地に地下5階地上31階のA棟、地下5階地上39階のB棟という2つの大型ビル(合わせて延床面積約36万㎡)を建設しようとするもので、内閣府から国家戦略特別区域の特定事業として認定された点が特徴である。
建物の竣工は2020年2月末を予定しており、竣工後の建物はオフィスを主体に店舗や多目的ホールからなる複合施設として利用される。 - c.埼玉県久喜市:「ロジスクエア久喜Ⅱ」計画
- 6月8日、シーアールイーが開発着手を発表した。計画は東北自動車道「久喜IC」から約4.8km、同「加須IC」からは約5.8kmの地点(敷地面積約9.8千㎡)に延床面積約1.2万㎡のBTS型物流施設を建設するというもの。既にテナント企業は確定済みで、今後、2016年7月上旬に着工して2017年2月下旬に竣工する予定。環境・省エネにも配慮した施設であることを示すため、国土交通省が制定したBELS評価等の取得も予定している。