REIT注目記事
中国大手保険会社が日本での物流施設開発に投資
7月4日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
7月6日、レッドウッドが東京及び名古屋で進めている物流施設開発計画4件に対し、中国4大保険会社の一角を占める中国平安保険が投資を行うことを発表した。投資計画は、今後1~1.5年内に着工する資産規模10億ドル超の開発計画に最大50%超の投資を行うというもので、既に3億ドル超の投資が確定している。8日にはGLPがカナダ公的年金運用期間CPPIBとの合弁で大型物流施設「GLP神戸西Ⅱ」の開発に乗り出すことを発表している(2016年10月着工予定)。世界的な低金利状態が続く中、利回りを求める投資資金が各種・各国不動産に流れる構図は当面続きそうである。
先日10日に行われた参議院選挙も注目されます。従来、自民党では「参議院選9年おきのジンクス(自民党は9年おきの参議院選挙で大敗し首相が退陣に追い込まれる)」と語られておりました。実際、これまでに2007年(第一次安倍政権)、1998年(橋本政権)、そして1989年(宇野政権)の参議院選挙で自民党は大敗し、ときの首相は退陣に追い込まれていた。
今回の参議院選挙では、自民、公明の与党は改選過半数の61議席を上回る70議席を獲得し、参議院での勢力を公示前の135議席から146議席へと拡大したのである。このジンクスを打ち破る勝利で盤石さを増した安倍政権の下、現在の不動産市場を底支えしている異次元緩和は、少なくとも安倍首相の自民党総裁任期、そして黒田日銀総裁の任期がそれぞれ満了となる2018年まで維持されるものとみられる。
物件動向
7月4日週の物件動向だが、以下に取り上げたもの以外では、6月10日にシーアールイーが開発着手を発表した「ロジスクエア久喜Ⅱ」の着工があった(7月4日着工)。2016年以降の同社の物流施設開発状況を開示資料から確認すると、1件が既に竣工を迎え、「ロジスクエア久喜Ⅱ」を含めて3件が着工済み、2件が着工予定(2016年8月予定、2017年3月予定)、未定が1件となっている。順調に進めば2017年内に5件の物流施設が竣工を迎えるが、そのうち幾つがCREロジスティクスファンド投資法人に売却されるのか興味深い。
- a. 埼玉県川越市:「川越開発計画(仮)」
- 7月4日、シーアールイーが物流施設開発用地の取得を発表した。取得地の敷地面積は約6,296㎡で関越自動車道「川越IC」から約10km、首都高埼玉大宮線「与野IC」から約16.7kmという立地。今後の開発計画だがテナントニーズ等を見極めながら具体化していくという。
- b. 神奈川県座間市:「(仮称)MCUD 座間」計画
- 7月5日、三菱商事都市開発が物流施設開発用地の取得を発表した。取得地の敷地面積は約9,130㎡で東名高速道「横浜町田IC」から約7km、圏央道「圏央厚木IC」から約5kmという立地。今後、シングルテナントを想定した物件開発を進めていくという。
- c. 東京都港区:「虎の門トラストシティ ワールドゲート計画」
- 7月5日、森トラストが虎ノ門三丁目から四丁目にかけての敷地約16,300㎡を舞台に進めている当該再開発計画について10月17日に着工すると発表した。
そもそも「虎ノ門トラストシティ ワールドゲート計画」は、東京における国際的経済・観光拠点の創出を目指したもので、2020年3月中旬竣工予定の建物(地下4階地上36階、延床面積約21万㎡)ではオフィスや国際ホテル機能の他、多言語対応医療や企業の海外展開支援といったサービスが複合的に提供されるという。
そんな「虎ノ門トラストシティ ワールドゲート計画」だが、目を引くのは主用途に事務所やホテル・サービスアパートメント、共同住宅等に加えて神社が挙げられている点だろう。7月5日付リリースでは具体的な神社名を挙げていないが、過去の発表によれば虎ノ門四丁目にある葺城稲荷神社が再開発敷地内で移転・再整備されるとのことである。もし実現すれば、虎ノ門エリアで敷地内・建物内に神社を抱える物件としては虎ノ門琴平タワー(虎ノ門金刀比羅宮社務所が入居)に続いて2例目のケースとなる。