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一般社団法人不動産協会、「平成29年度税制改正要望」を発表
9月5日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
9月5日、一般社団法人不動産協会(以下、不動産協会)が「平成29年度税制改正要望」を決定、発表した。当該要望は経済効果の高い大都市による経済成長の牽引、そして住宅投資の安定的推移によるGDP拡大に資することを主目的としたものである。
多岐にわたる要望項目の中で目を引くのは、先端的な設備等を備えた大規模物流施設への投資に対する税制支援を求める「新型・大規模物流施設整備促進税制の創設」、地方創生推進のために地域観光振興に貢献する宿泊施設の新設・立替等に対する税制支援を求める「地方創生の推進に資する税制上の支援措置の創設」だろう。既に国土交通省は「不動産投資市場政策懇談会」やその他様々な場面で「成長分野における不動産投資市場の拡大と国際競争力の強化」が重要との認識を示しており、具体的な成長分野として国際ビジネス環境やヘルスケア施設と並んで物流、観光を挙げている。それだけに、先進的大規模物流施設や地方の観光・宿泊施設の開発に対する税制支援の現実化は強く期待したいところである。
また、「Jリート等の登録免許税及び不動産取得税の特例の延長・拡充」という要望項目もあり、登録免許税の軽減措置の期間延長や不動産取得税の軽減対象にヘルスケア施設及びその敷地の追加を求める等、既に一般社団法人不動産証券化協会や国土交通省が出している税制改正要望とも共通した内容となっている。
9月6日、かねてよりJ-REIT組成に向けて準備を進めていた株式会社日本エスコンより、100%子会社である株式会社エスコンアセットマネジメントが「エスコンジャパンリート投資法人」を設立したとの発表があった。設立された投資法人は今後、商業施設の底地を主要投資対象とする総合型REITとして上場を目指す。
物件動向
9月5日週の物件開発動向だが、発表があったのは以下の2件。
- a. 神奈川県横浜市:「ベイサイドマリーナ地区開発業者公募」
- 9月5日、横浜市が横浜ベイサイドマリーナ地区A、C、D街区合わせて約32,000㎡の開発事業者を公募すると発表した。
当該3街区は三井不動産株式会社(以下、三井不動産)が横浜市と事業用借地権設定契約を締結して三井アウトレットパーク横浜ベイサイドを展開してきたが、2018年3月31日で契約満了となる。今回の開発事業者公募はこれを受けた動きである。
横浜市は今回の公募に伴う開発条件及び土地処分方法として、当該3街区を一体として利用したアーバンリゾート型商業施設を開発すること、土地の処分方法は売買提案と事業用定期借地権のどちらかとし前者を後者より評価することも発表している。開発事業者受付は11月18日まで(提案受付は11月30日まで)。2017年1月に事業予定者が決定する見込みだが、現在の事業用借地権者である三井不動産が開発事業者の座を改めて射止めるのか否か、興味深い。 - b. 東京都新宿区:「四谷駅前地区第一種市街地再開発事業」
- 9月6日、独立行政法人都市再生機構(以下、都市再生機構)及び三菱地所株式会社(以下、三菱地所)等がJR線四ツ谷駅前を舞台とした大型再開発計画について着工したと発表した。
計画は、駅に至近の四谷1丁目(敷地面積約1.8万㎡)に地下3階地上31階、延床面積約14万㎡の高層ビルを建設し、竣工後はオフィスや住居、店舗が入る複合施設として利用するというもの。当該開発事業の施行者は都市再生機構で、三菱地所本体及び三菱地所その他が出資するSPCが事業パートナーとして参加している。竣工は2019年度の予定。