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東証、いちごグリーンインフラ投資法人の上場を承認
10月24日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
10月24日、いちごグリーンインフラファンド投資法人が東証インフラファンド市場への上場が承認されたと発表した(上場予定日2016年12月1日)。
東証インフラファンド市場2件目の上場銘柄となる当該投資法人の投資対象は、太陽光発電等の再生エネルギー発電施設。スポンサーはいちご株式会社、資産運用会社はその100%子会社であるいちご投資顧問が務める。
またこの上場承認発表と同時にいちご株式会社から太陽光発電所13物件のいちごグリーンインフラファンド投資法人への譲渡契約締結が発表された。譲渡価格合計は100.1億円で発表時点での各物件引渡予定日は未定。ただし過去の類似例から推測すると上場日と同日付で引渡が完了すると見られ、上場第1号であるタカラレーベン・インフラ投資法人の資産規模78.7億円(取得価格ベース)を上回る規模でのスタートとなりそうだ。
同じ10月24日、日銀より『金融システムレポート(2016年10月号)』が公表された。
東不動産市場については「現時点では、全体としては過熱の状況にはないと考えられる」とし、前号までの「金融活動指標」では赤色(過熱方向への変化)で表示されていた「不動産業実物投資の対GDP比率」が1段階沈静化して緑色での表示となった。ただ同時に、一部大都市圏での低い投資利回り、金融機関の不動産業向け貸出し拡大、高値取引の地方圏への波及状況に目を光らせていく旨も示された点には注意したい。
また金融機関全体の動向として、国内金利低下による収益性低下のカバーを狙ったREIT等の各種投資信託、外債といったリスク性資産の保有拡大が進んでいることが改めて明らかになった。この金融機関の動きは、当面REITへの支援材料、底支え要素となりそうである。
物件動向
10月24日週の物件開発動向だが、真宗大谷派難波別院が保有する物件の再開発計画が発表された。
当該計画は定期借地権を利用したもので、寺社が不動産売買を伴わない定期借地権を利用して保有不動産活用に繋げた例としては、東京都新宿区の赤城神社や成子天神社、京都市の梨木神社のケースが有名である。
少子高齢化による人口構成の変化、東京や地方中核都市への人口移動、人々の信仰・価値観の変化等を背景に、安定的な運営資金の確保を目的とした寺社の保有不動産活用の動きは今後さらに活発化していくと見られる。
- a. 大阪府大阪市:「御堂会館建替」計画
- 10月24日、真宗大谷派(本山は「東本願寺」)の難波別院、積和不動産関西株式会社(以下、積和不動産関西)、株式会社東急ホテルズ(以下、東急ホテルズ)が、御堂会館敷地の定期借地権設定契約締結と当該建物のホテルを中心とする高層複合施設への建替計画を発表した。
建替えの対象である御堂会館は、真宗大谷派難波別院が1961年に教化伝道、文化交流等を目的として建設したものだが、2016年1月に施設の老朽化を理由として閉館されていた。
今回発表された建替計画によれば、まず真宗大谷派難波別院は地下鉄御堂筋線本町駅へのアクセスも容易な御堂会館敷地約2,590㎡に積和不動産関西を賃借人とする定期借地権(期間は2017年10月1日から2077年9月30日までの60年)を設定。その上で積和不動産関西が高層複合施設を建設する。竣工後は日本初の寺院山門一体型ホテルとして東急ホテルズが運営を行う他、多目的会議室や浄土真宗の教えを発信するための真宗大谷派難波別院総合案内所としても利用される。
工事については既に既存建物の解体やインフラ再整備等に着手しており、2019年冬の開業見込み。
なお当該立替計画に参画している積和不動産関西は積水ハウス株式会社の、東急ホテルズは東急電鉄株式会社のそれぞれ完全子会社である。