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JR西日本、三菱重工傘下不動産会社の株式70%を取得
10月31日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
10月31日、西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)が三菱重工株式会社(以下、三菱重工)傘下の不動産会社菱重プロパティーズ株式会社(以下、菱重プロパティーズ)の株式70%について取得契約を締結したと発表した。
菱重プロパティーズは三菱重工の100%子会社菱重ファシリティー&プロパティーズ株式会社(以下、菱重F&P)から不動産関連事業を引き継ぐことを目的として今年7月15日に設立された会社である。
今回の発表によると、菱重プロパティーズは2017年1月1日に菱重F&Pから不動産事業を会社分割で承継し、その1カ月後、2017年2月1日に株式70%がJR西日本に970億円で譲渡される(残り30%は三菱重工が保有)。
「中期経営計画2017」で連結営業収益における非運輸業比率を2022年度末までに40%に引き上げるという目標を掲げたJR西日本は、首都圏に強みを持つ菱重プロパティーズの株式70%取得を通じて、不動産事業をさらに加速させていく考え。
今回のような大手製造業の不動産子会社・関連会社買収と言えば、昨年の野村不動産ホールディングス株式会社が東芝株式会社からNREG東芝不動産株式会社株式を追加購入して出資比率を95%まで引き上げた事例はいまだ記憶に新しい。国土交通省の「平成25年法人土地・建物基本調査」(確報集計)によれば、会社法人が保有する土地資産額213.6兆円のうち製造業は65.7兆円を占めて業種別のトップに立っている(面積でも15,798k㎡のうち5,552k㎡を占めてトップ)。今後も引き続き製造業各社の保有不動産を巡る合従連衡に注目したい。
11月1日、ケネディクス・オフィス投資法人が西新橋TSビルの取得及びKDX日本橋兜町ビルの譲渡に係る契約を締結したと発表した。
ことの発端は、東京都の「東京国際金融センター構想」と平仄を合わせる形で「日本橋兜町再活性化プロジェクト」を進めている平和不動産株式会社(以下、平和不動産)が、ケネディクス・オフィス投資法人が保有するKDX日本橋兜町ビルに関心を示したことである。
平和不動産からケネディクス株式会社(以下、ケネディクス)経由で打診を受けたケネディクス・オフィス投資法人は、検討のうえでKDX日本橋兜町ビルの譲渡を決定するとともに、当該ビル譲渡による賃料収入減少を最小化するため代替物件の譲渡を平和不動産側に要求した。
この要求に対して平和不動産側は自社とその100%子会社が保有する西新橋TSビルを代替物件として提示し、ケネディクス・オフィス投資法人がそれを受け入れて取引成立と相成ったのである。
今後、KDX日本橋兜町ビルは2017年2月1日付でケネディクス・オフィス投資法人から平和不動産に譲渡される(譲渡価格124億円)。一方の西新橋TSビルは、平和不動産から一旦ケネディクス・デベロップメント株式会社(ケネディクスの100%子会社)に譲渡された後、2017年2月1日付でケネディクス・オフィス投資法人へと譲渡され(譲渡価格84億円)、契約完了となる見通し。
平和不動産は取得後のKDX日本橋兜町ビルについて当面は賃貸事業で活用する姿勢だが、同時に将来的な再開発も検討するとしている。いずれにせよ平和不動産リート投資法人のパイプラインへの影響が興味深い。
関連記事:ケネディクス・オフィス投資法人が西新橋TSビルの取得、KDX日本橋兜町ビルの売却を発表
物件動向
10月31日週の物件動向だが、主だったものとして以下の案件が発表された。
- a. 神奈川県横浜市:「(仮称)馬車道駅直結 横浜北仲タワープロジェクト」
- 11月1日、三井不動産レジデンシャル株式会社と丸紅株式会社が、横浜市中区で進めている高層ビル建設計画について着工を発表した。
計画は、みなとみらい21地区と関内地区の間に位置する北仲通地区の敷地約1.3万㎡に地下1階地上58階、延床面積約17万㎡の高層ビルを建設し、分譲住宅(1,100戸)を中心に宿泊施設、商業施設等からなる複合施設として利用しようというもの。
工事については既に既存建物の解体やインフラ再整備等に着手しており、2019年冬の開業見込み。
竣工は2020年2月を予定しており、竣工後の施設には多言語対応のコンシェルジェ配備、多言語サインの設置等を行って外国人需要の取込みも目指す。