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国土交通省、「不動産取引における国際対応の円滑化に関する検討会」を開催
12月12日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
12月12日、国土交通省が14日に「不動産取引における国際対応の円滑化に関する検討会」の第1回を開催すると発表した。
昨今、インバウンドという言葉と共に外国人投資家による日本国内不動産取得が注目を集めているが、商慣習の違い、多くの不動産事業者にとって海外顧客は馴染みの薄い存在であったこと等から、必ずしも海外からの需要を十分に取り込めていないという指摘もあった。
一方、政府・国土交通省は報告書「不動産投資市場の成長戦略 ~2020年に向けた成長木料と具体的取組~」等で日本不動産の取引活性化、資産価値維持・向上には海外からの投資受入れが不可欠との認識を示しており、今回、不動産業界の海外需要取込みを支援すべく検討会の開催を決定した。
検討会自体は非公開で行われるものの(使用資料は国土交通省サイトで後日公開される)、現在発表されたところによると、第1回目は日本不動産市場における国際取引の現状把握、海外顧客向け実務マニュアルの作成等を議題とし、2017年1月中旬に第2回、2017年2月中旬に第3回をそれぞれ開催していく予定だという。
12月13日、米不動産投資顧問大手LaSalle Investment Management(以下、ラサール)が、SPCを通じて東京都中央区築地にある物件「浜離宮パークサイドプレイス」の信託受益権を9日付で取得したと発表した。
今回ラサールが取得した信託受益権の対象物件である浜離宮パークサイドプレイスは、地上17階建て、延床面積約3.9万㎡のオフィスビルで、都営地下鉄大江戸線「築地市場駅」から至近の徒歩4分という立地に位置している。
ラサールは今後、浜離宮パークサイドプレイスに照明LED化や1階カフェスペースの改修といったリニューアル工事を施して都内築浅オフィスに対する根強い借り手需要を取り込む考え。
またラサールは12月15日にもSPCを通じてオフィス物件の信託受益権を取得したことを発表した。15日に取得が発表された物件は、大阪市西区のオフィスビル(地上7階、延床面積約3,400㎡、四つ橋線「本町駅」より徒歩4分)。
当該オフィスビルについて、ラサールは改修を行い、総客室数103室のホテル「ホテル・アンドルームス大阪本町」として2017年4月に開業させる意向を示している。改修後のホテル運営は「ロワジール」や「チサン」といったブランドを擁するソラーレホテルズアンドリゾーツ株式会社に委託される予定。
なお不動産を現物ではなく信託受益権という形で取得すると、現物の取引で課される不動産取得税、土地所有権移転登記に係る登録免許税が非課税となるため、取引コストをより低く抑えることが可能となる。
物件動向
12月12日週の物件開発動向だが、主だったものとして以下の2件(いずれも物流施設)の発表があった。
- a. 愛知県小牧市:「GLP小牧Ⅱ」計画
- 12月14日、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社(以下、GLP)が愛知県小牧市で開発計画を進めていた物流施設「GLP小牧Ⅱ」の着工を発表した。
当該物流施設が建設される敷地は面積約1.7万㎡で、東名高速道「小牧IC」まで約2kmという立地。そこに延床面積約3.6万㎡のマルチテナント型物流施設を開発するという。竣工は2018年1月の予定。
当該物流施設の立地選定についてGLPは南海トラフ大地震の影響の少ない強固な地盤であることを重視したこと、そして施設自体も災害時の継続使用や素早い復旧を重視した設計としたことを強調している。
実際、沖積平野に特徴的な粘土質の軟弱地盤が広がる濃尾平野(関東平野や大阪平野も同様)にあって、小牧市一帯は比較的耐震性に優れる砂礫台地が広がっている。南海トラフ大地震に限らず、大規模震災の可能性が常に付きまとう日本の特徴を考えると、開発地の地盤如何は軽視できない要素と言えよう。
- b. 埼玉県上尾市:「上尾開発計画(仮)」
- 12月15日、物流不動産の開発・運営・投資を手掛ける株式会社シーアールイー(以下、CRE)が埼玉県上尾市に物流施設開発用地を13日付で取得したと発表した。
取得地は圏央道「桶川北本IC」から約6.9km、首都高速「与野IC」から約8.4km、そして国道17号バイパスに接するという立地。敷地は南北に分かれ、両者合わせた面積は約1万㎡になる。
今後の具体的な開発スケジュール等は策定中のようだが、CREはテナントニーズを反映させたBTS型物流施設を建設する方針を示している。