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【前編】「平成28年版 土地白書について」
土地総合研究所第191回定期講演会
(写真/PIXTA)
政府が土地に関する動向及び土地に関する基本施策について国会に報告するために毎年作成・公開しているのが土地白書です。政府が不動産に対してどのような認識を持ち、どのような政策の必要性を感じているのかを把握するのに格好の資料ですが、去る5月13日、最新版となる平成28年版の土地白書が閣議決定されました。
一般財団法人土地総合研究所第191回定期講演会(6月9日)では、その要点について、国土交通省の土地・建設産業局政策統括官付企画課長の百崎賢之氏よりご説明頂けるということで、お話を窺ってきました。
取り上げられたトピックは以下の通りですが、とりわけ時間が割かれたのが1と3であった。今回は1,3について内容の報告を致します。
1.平成27年度の地価・土地取引等の動向
2.東日本大震災から5年が経過した被災地における土地利用の現状
3.社会変化に対応した既存ストックの有効活用と不動産情報の多様化
1.平成27年度の地価・土地取引等の動向
地価も地域、用途問わず全体的に堅調な展開が続き、基本的には楽観的なトーンでお話は進みました。
その中で興味深かったのが、旅館・ホテルの客室稼働率、「土地問題に対する国民の意識調査」結果、企業が保有する福利厚生施設等の土地面積推移です。
まず旅館・ホテルの客室稼働率です。最近のインバウンドの活況等を聞くと万遍なく快走状態にある印象を抱いてしまいます。しかし、国土交通省「宿泊旅行統計調査」の結果によればそれはどうやら間違いのようです。旅館、リゾートホテル、ビジネスホテル、シティホテルのうち、確かにホテル三種では改善傾向が続き、特にシティホテルでは平成27年第4四半期に81.4%を記録する好調ぶりでした。しかし、旅館は平成23年第1四半期以降、35%を中軸とした±5%のレンジにはまったまま抜け出せず、平成27年第4四半期は37.8%という結果に終わっているのです。勝ち組と負け組の差が鮮明の度を増しているのが旅館・ホテル業界の現状と言えそうです。