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「国際総合物流展2016」レポート 3/3
2016年9月13日(火)~9月16日(金)開催
3日目の9月15日にセミナーを行ったのは、プロロジスとGLPです。
まずはプロロジスから見ていきましょう。
3日目(1):株式会社プロロジス
2016年9月15日時点で物流特化型REITとしては日本最大の資産規模(取得価格ベースで4,471億円)を誇る日本プロロジスリート投資法人のスポンサーを務めているのがプロロジスです。米国カリフォルニア州サンフランシスコ市に本社、コロラド州デンバー市に業務本部を置き、世界規模で物流施設の開発、投資、運用、その他サービス提供を展開しています。そのセミナー「今後の施設開発戦略」で印象に残ったのが、以下の点です。
- 開発地として重視している点は、交通アクセスの改善と物流施設で働くパートの確保。具体的な地域でいうと、交通アクセス改善という面では関東の圏央道エリアと関西の新名神高速エリア、人手確保という面では関東・関西のニュータウンエリアに注目 している。
- 当面の物流施設開発では、人手を集めるために作業環境の改善は勿論、食堂や休憩所、銀行ATMの設置といったアメニティの充実が重要だと考えている。
- 多様化するテナントニーズに対応するため、物流施設にも冷凍・冷蔵等多温度帯への対応能力、化学品等の危険物保管能力等様々な能力が必要となってくる。
J-REITが保有している、または取得する物件の紹介でも必ず「人手確保に有利な立地」であることが強調されていますが、こうした人手確保のためのアメニティ整備、そして多種多様なテナントニーズにこたえていくための設備・機能投資と、物流施設開発に要する金額は今後更に増えていくことになりそうです。
3日目(2):グローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社
続いてGLPです。物流特化型REITであるGLP投資法人のスポンサーとしてお馴染みの同社は、2002年にGIC(シンガポール政府投資公社)の不動産私募ファンドとして始まり、2009年から2010年にかけてプロロジスから一部資産を買収したことをきっかけに大きく成長を遂げました。現在は日本、中国、米国、ブラジルで物流施設の開発、投資、運用、その他サービス提供を展開しています。
そんなGLPのセミナー「物流業界の課題に対するGLPの新しい取り組み」で印象に残ったのが以下の点です。
- 現在千葉県流山市で開発中の物件では、荷受け事務のデジタル化や手続き場所の集約、事務手続き時間の可視化を盛り込んだ「共同荷受けシステム」を導入し、貨物処理の 省人化、効率化を図っている。
- 人手不足に対応するため、人材派遣会社や人員募集媒体と連携して人材プラットフォームを構築して安定的な施設従業員確保を図っている他、施設内に人材派遣会社事務所を開設してテナント間での人員の融通を柔軟化させることも計画している。
- 施設開発に際しては、免震構造の採用、燃料備蓄機能の付加といったBCP機能を重視した設計を行っている。
- 中古物流機器売買会社と連携し、既存テナントが退去で不要となった機器を現金化する機会、また新規テナントが入居にあたって必要となった機器を少しでも安く購入する機会を提供している。
物流施設の開発・供給が活発化する中、テナントに選ばれるためには、物流施設自体の機能・性能は勿論、どんなサービスを提供できるかがより重要になっていることを感じさせる内容でした。
以上、物流施設を開発する際の着目点、物流施設に求められる機能、深刻化する人手不足への対応についてJ-REITスポンサー各社の様々な工夫、アイディアが窺えた3日間でした。