REIT注目記事
サムティ・レジデンシャル投資法人
FISCO REIT REPORT
サムティレジ Research Memo(1):着実な内部成長により計画を上回る運用成果を実現
――要約
サムティ・レジデンシャル投資法人は、関西を基盤として主要地方都市への投資実績が豊富なサムティをスポンサーとするREITである。2015年3月に設立され、2015年6月に東京証券取引所の不動産投資信託証券市場(J-REIT市場)に上場した。決算期は年2回(1月、7月)である。スポンサーのサムティは、自社開発ブランド「S-RESIDENCE」シリーズ等による不動産事業(投資家向け収益マンションの開発及び販売等)と不動産賃貸事業(賃貸マンションの運営等)を両輪とし、ビジネスホテルの開発・運営等も手掛けている。主要地方都市における賃貸物件(レジデンス)の開発実績やリーシング力(賃貸付け)等に強みがある。
同REITの最大の特徴は、「主要地方都市を中心としたレジデンスへの投資」及び「サムティグループの活用」にある。特に、サムティグループが開発・保有する物件の安定供給(優先交渉権の付与)や多岐にわたるスポンサーサポートは同REITの強力な成長エンジンとなっている。運用資産は49物件、取得価格合計は51,551百万円であり、J-REITの中ではまだ小さいが、当面の目標である資産規模1,000億円に向けたパイプラインは順調に積み上がっている。
2017年7月期(2017年2月1日−2017年7月31日)の業績は、物件取得による外部成長がなかったものの、営業収益が1,840百万円(2017年1月期比1.9%増)、営業利益が759百万円(同10.7%減)、経常利益が614百万円(同1.4%増)、当期純利益が613百万円(同1.4%増)となり、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)が2,670円と2017年1月期比25円増加した。また、業績予想に対しても、賃料収入や礼金、更新料の収入の増加やコスト削減など着実な内部成長により、営業収益及び各利益、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)のすべてが計画を上回っており、順調な運用成果を残したと評価できる。
同REITでは2018年1月期(2017年8月1日-2018年1月31日)と2018年7月期(2018年2月1日-2018年7月31日)の業績予想を開示しており、2018年1月期は、営業収益1,826百万円(2017年7月期比0.8%減)、営業利益778百万円(同2.6%増)、経常利益615百万円(同0.0%増)、当期純利益614百万円(同0.0%増)、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)2,670円(2017年7月期比横ばい)を計画。また、2018年7月期は、営業収益1,842百万円(2018年1月期比0.9%増)、営業利益794百万円(同2.0%増)、経常利益615百万円(同0.0%増)、当期純利益614百万円(同0.0%増)、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)2,670円(2018年1月期比横ばい)を計画しており、引き続き、安定した業績が推移する見通しである。弊社では、前提条件に合理性があることや安定的なキャッシュフローから判断して、業績予想の達成は十分に可能とみている。むしろ、2017年7月期と同様、賃料収入の増加やコスト削減などによりどれだけ業績の上乗せができるかがポイントになるだろう。
同REITの成長戦略は、スポンサー開発物件の「S-RESIDENCE」の継続的な取得を中心とし、それに加えてスポンサー保有物件やスポンサー以外の第三者が保有する物件を取得とする外部成長と、地域特性や物件特性等を勘案したリーシングやコスト削減などによる内部成長を軸としたものである。当面の目標として、資産規模1,000億円の達成を目指している。弊社では、外部成長については、パイプライン(検討中を含む)が順調に積み上がっていることから目標達成は射程圏内にあるものと評価している。また、内部成長についても、各主要地方都市における規模拡大が進むことにより、運用効率がさらに高まる効果が期待できるほか、地域特性にあった運用ノウハウの蓄積により着実な成長が可能であるとみている。
また、他のレジデンス特化型J-REITと比較すると、分配金利回りやNAV倍率などから判断して同REITの投資口価格には明らかな割安感がある。したがって、今後、資産規模の拡大に向けた道筋や知名度の向上、運用実績の積み上げなどの進展により、調整される余地は十分にあるものと判断している。
■Key Points
・主要地方都市を中心としたレジデンス投資を特徴とするJ-REIT
・サムティグループによる物件の安定供給や多岐にわたるスポンサーサポートに強み
・2017年7月期は着実な内部成長により計画を上回る運用成果を実現
・当面の目標として、資産規模1,000億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
本記事の重要事項(ディスクレーマー)はこちらのリンクの資料よりご覧ください
掲載内容に関しては株式会社フィスコIRにお問い合わせください。