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三井不動産、台湾で初の「ららぽーと」展開へ
1月23日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
1月25日、三井不動産株式会社(以下、三井不動産)が台湾での「ららぽーと」事業展開計画を発表した。三井不動産は台湾で既に商業施設「三井アウトレットパーク」を展開しているが(新北市林口区では2016年1月に開業、中市台中港では2018年内開業予定)、当該地域における「ららぽーと」ブランドの展開は今回発表された計画が初めてとなる。
発表によると、三井不動産は台湾大手金融グループ中国信託金融ホールディングス傘下の台湾人寿保険股份有限公司(以下、台湾人寿保険)と組み、台北市南港区で台湾人寿保険が開発を進める大型複合施設の商業モール部分(店舗面積約7万㎡、約250店舗の展開が可能)を賃借して「(仮称)三井ショッピングパーク ららぽーと台湾南港」を展開するという(2021年開業予定)。
開業予定地の南港地区は台北市の東縁部にあたるが、近年大企業の拠点集積が進み、台北地下鉄の駅も近く、高速道を通じて基隆市や宜蘭市へのアクセスにも便利であることから、三井不動産は幅広い客層の取り込みに期待を寄せている。
他に三井不動産は2016年9月に台北支社を現地法人台湾三井不動産股份有限公司に昇格させ、今年1月10日には台北市でのホテル事業計画を発表しており、台湾での積極的な動きが目立っている。
1月25日、株式会社ニトリホールディングス傘下の物流企業株式会社ホームロジスティクス(以下、ニトリHD及びホームロジスティクス)が、物流施設「西日本通販発送センター(大阪府茨木市)」に無人搬送ロボット「バトラー」(発売元:Grey Orange Pte. Ltd.)を2017年10月頃を目途として79台導入すると発表した。
物流施設における仕分け、搬送といった各種作業がEコマース市場拡大に伴って複雑化、作業量増大の一途を辿る一方、人口動態の変化は物流作業に従事する人員の確保難、雇用コスト拡大をもたらしている。ロボット導入による物流施設作業の省人化・無人化はこうした難題に対する一つの回答といえよう。
ロボット導入による物流施設作業の省人化・無人化がどのぐらいの速さと規模で普及していくかは議論の分かれる所であろうが、それが物流施設の開発立地や設計、ひいては開発コスト等にどう反映されてくるか引き続き注目したい。
物件動向
1月23日週の主な物件動向としては、以下の2件の発表があった。
- a.広島県広島市:「新広島ビルディング建替計画」
- 1月25日、三菱地所株式会社(以下、三菱地所)が広島市でのオフィスビル建替計画を発表した。
計画は、広島市中区幟町にある神戸広島ビル株式会社所有の現「新広島ビルディング」を解体後、敷地に定期借地権を設定の上で新「新広島ビルディング」を建設するというもの。
新たに建設されるビルの規模は、地上14階、延床面積約1.2万㎡。テナントとしては現「新広島ビルディング」に入居していた百十四銀行広島支店の入居が既に固まっている他、新たに商業テナントの誘致も計画している。開発スケジュールとしては、2017年冬の建設開始と2019年秋の竣工をそれぞれ見込んでいる。
- b.和歌山県和歌山市:「和歌山都市計画友田町四丁目地区第一種市街地再開発事業」
- 1月25日、旭化成不動産レジデンス株式会社(以下、旭化成不動産レジ)が、特定事業参加者として参画している「和歌山都市計画友田町四丁目地区第一種市街地再開発事業」の本格的事業スタートを発表した。
当該事業は、JR「和歌山」駅近隣の敷地約2,880㎡に地下1階地上20階、延床面積約2.4万㎡のビルを建設し、住居や食品スーパー、医療機関からなる複合施設として活用しようというものである。
工事スケジュールは2017年夏頃に既存建物の解体・撤去を開始し、2020年2月に竣工を迎える予定。テナントには地元で長く親しまれているスーパーや医療機関の入居が既に確定しており、和歌山市の活性化や都市機能の集積に繋がることが期待されている。
政府や地方公共団体は人口動態の変化を踏まえ、中核都市に都市機能や人口を集中させる「コンパクトシティ化」の取組を推進している。これを追い風として、医食住をセットにした地方都市での再開発が今後も続くとみられる。