REIT注目記事
三井物産、米国不動産アセットマネジメント会社に出資
2月20日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
2月20日、三井物産株式会社(以下、三井物産)が米国の不動産アセットマネジメント会社に出資すると発表した。
出資対象となる米不動産アセットマネジメント会社はCIM Group, LLC(以下、CIM社)といい、北米のオフィス、マンション等不動産やインフラ施設を対象とした私募ファンドや上場REITから運用を受託。運用資産額は192億米ドル(2.2兆円相当)に及ぶ。
そのCIM社に対し、三井物産は4.5億~5.5億米ドル(520億~630億円相当)を投じて同社持分の20%取得、CIM社が運用する複数ファンドへの出資、さらにCIM社運用ファンドの日本での販売活動への全面支援を行うという。
投資市場の透明性や関連する法制度、税制が整備されている北米不動産は従来より世界中の投資を引き付けてきた。加えて最近では大規模なインフラ整備の必要性を訴えてきたトランプ氏が米国大統領に就任したことで同国インフラ分野も投資対象として注目を浴びるようになっている。
翻って日本では低金利・低成長で資金運用難に苦しむ地方銀行や年金基金が新たな投資対象を模索しており、今回の三井物産の動きが、こうしたジャパン・マネーの北米への呼び水になるか注目される。
2月20日、国際的な総合不動産サービス大手ジョーンズ・ラング・ラサール(以下、JLL)が東京銀座の商業施設「キラリトギンザ」の施設運営管理及びリニューアル業務を受託すると発表した。
キラリトギンザは現時点で全51店舗を擁する銀座エリア最大級の商業施設である。オリックスグループが開発を行って2014年10月30日に開業し、2015年8月にアゼルバイジャンの政府系ファンド「アゼルバイジャン国家石油基金(SOFAZ)」が4億米ドル以上(当時レートで523億円相当)で取得した。
JLLは今後、近隣競合施設との差別化、訪日外国人向けのサービス拡充等でキラリトギンザの更なる収益性向上を目指すという。
2月22日、不動産企業の株式会社日本エスコン(以下、日本エスコン)が、兵庫県加東市に物流施設開発用地を取得したと発表した。
それによると購入した敷地の面積は約11.4万㎡、中国自動車道「ひょうご東条IC」に近接した立地だという。現時点で具体的な開発計画・スケジュールは未発表だが、同社は2018年度の新名神高速道路開通による交通利便性の一層の向上に期待を示している。
日本エスコンはこれまでマンションや商業施設の開発・賃貸を中心に事業を展開しており、物流施設開発に向けた動きは今回が初。今年2月7日には不動産業の株式会社ランドも同社としては初めて物流施設開発に参入すると発表しており、こうした物流不動産開発への新規参入がどこまで活発化するか興味深い。
物件動向
2月20日週の物件動向だが、主なものとして以下の発表があった。
- a.大阪府大阪市:「(仮称)大阪島之内ホテル計画」
- 2月20日、三菱地所株式会社(以下、三菱地所)が大阪市中央区における「(仮称)大阪島之内ホテル計画」着工を発表した。
当該計画は、大阪市営地下鉄「長掘駅」等に近い島之内2丁目の敷地724.3㎡に地下1階地上13階、延床面積約6,300㎡、客室数216室のホテルを建設しようというもの。2018年6月の竣工と翌月の開業を予定している(運営は株式会社ホスピタリティオペレーションズが当該ホテルを賃借して行う)。
なおホテル需給バランスについて、東京圏は新規開発案件の増加で2020年を目途に逼迫感が解消されるとの見込みが出ている一方、大阪圏はホテル需給の逼迫状態が続くという見方が強く、こうした訪日外国人観光客を中心とした強い需要の取込みに三菱地所側は期待を示している。