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GPIF、不動産投資に係る運用受託機関を公募
4月10日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
4月11日、公的年金基金としては世界最大級の規模を誇る年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)が、不動産を含むオルタナティブ資産への投資のため、新規運用受託機関の公募を開始した。
運用対象となる資産は不動産とプライベート・エクイティ、インフラストラクチャーで、GPIFはファンド・オブ・ファンズ形式で投資を行う。このうちプライベート・エクイティとインフラストラクチャーには既に投資実績があるものの、不動産への投資は実現すればこれが初めてとなる。
公募概要によると不動産の投資対象地域は日本国内とそれ以外の先進国、運用スタイルはコア型(取得した不動産を継続的に保有してそこからの賃料を収益源とする運用スタイル)。
GPIFの巨大な運用資金が、たとえ一部ではあってもコア型の運用スタイルで国内不動産投資市場に流れ込むことは、資産価格の水準及び安定性の維持という観点から評価できよう。
一方、最近の国内不動産投資市場では、コア型運用戦略を主軸に据えるJ-REITが物件売買の主役となったことで市場に出回る物件の数が減り、取得競争の更なる激化がもたらされていると指摘する声もある。それだけに、巨額の資金を有するGPIFがJ-REIT同様のコア型運用戦略で参入してきた場合、不動産投資市場が如何なる反応を示すか、実に気になるところである。
同じ4月11日、野村不動産株式会社とグループ企業野村不動産ウェルネス株式会社(以下、それぞれ野村不動産、ウェルネス)が、サービス付き高齢者住宅(サ高住)事業への「OUKAS」ブランドによる参入と第一弾物件「OUKAS船橋」の開業予定を発表した。
発表によると、野村不動産とウェルネスは今後10年間で40棟、5,000戸のサ高住供給を目指して開発を進める他、以前業務資本提携契約を締結した株式会社創生事業団、株式会社JAPANライフデザインと連携して自立・介護高齢者双方を対象として事業展開を行っていくという。
またOUKAS船橋については、野村不動産と三菱商事株式会社が分譲マンションや大型ショッピングセンター、病院等の共同開発を進めている「ふなばし森のシティ」地域に近接する形で開発し、2017年10月1日に開業する予定。その規模は、地上6階、延床面積約7,700㎡、総戸数125戸というもの。
野村不動産グループがスポンサーとなっている野村不動産マスターファンド投資法人は、「将来的な新たな投資対象」の一つとしてヘルスケア施設を挙げており、今後野村不動産とウェルネスが開発したサ高住が同投資法人のパイプラインに加わってくるのか、注目される。
物件動向
4月10日週の物件動向だが、主な発表として以下の1件があった。
- a.埼玉県川越市:「MFLPプロロジスパーク川越」計画
- 4月12日、三井不動産株式会社(以下、三井不動産)とプロロジスが埼玉県川越市での物流施設共同開発を発表した。
発表によると両社は、関越自動車道「川越IC」から車で7分、西武新宿線「南大塚駅」から徒歩6分の敷地約5.9万㎡に地上4階、延床面積約13万㎡のマルチテナント型物流施設を開発するという(着工は2017年8月、竣工は2018年10月をそれぞれ予定)。
三井不動産とプロロジスというJ-REITのスポンサー同士による共同開発案件だが、三井不動産の方は過去にJ-REITスポンサーであるGLPと組んで物流施設「GLP・MFLP市川塩浜」を開発しており、現在、当該物流施設は信託受益権化されて三井不動産ロジスティクスパーク投資法人とGLP投資法人が50%ずつ保有しあっている状態。
もしMFLPプロロジスパーク川越が竣工後にJ-REITに組み込まれることとなった場合、GLP・MFLP市川塩浜の前例から、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人と日本プロロジスリート投資法人との共有状態になる場合も想定される。