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JR九州、東南アジア不動産市場の情報収集拠点を設立
5月29日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
5月29日、九州旅客鉄道株式会社(以下、JR九州)が東南アジアでの不動産市場・物件情報収集等を目的とした拠点を5月2日付で設置したと発表した。
拠点はタイ・バンコクに置かれ、日本人駐在員2名とタイ人現地スタッフ2名からなり、事務所という位置づけでタイやその他東南アジア諸国の不動産市場や物件の情報を収集していくという。
東南アジア不動産市場における日本企業各社の動きだが、デベロッパーとして参入する他、三井物産会社やケネディクス株式会社のように現地REITのスポンサーとなる等、多彩な手段で現地への食い込みを図っている。そうした中で、今後JR九州が東南アジア不動産市場でどのようなポジションを構築していくのか注目される。
5月31日、国土交通省が平成28年度「不動産証券化の実態調査」の結果を発表した。
当該調査は不動産証券化市場の規模把握を目的としたもので、2005年(平成16年度版調査結果)から年1回のペースで調査結果が公表されている。
その最新版となる今回の調査結果を見ると、REITが資産の買い手、その他私募ファンド等が売り手という構図は依然変化がないものの、資産の取得額は平成26年度の5.5兆円から2期連続の減少となる4.8兆円(前期比では10%減)、取得件数も東京都以外の地域での取得件数減が響いて平成26年度から2期連続の減少となり、市場の息切れ感を感じさせる内容となった。
一方で取得件数、金額とも現時点では小さいものの、不動産の開発資金を証券化で調達する開発型証券化は2008年度以来の最高水準(54件 0.37兆円)を記録している。今後不動産証券化市場の拡大基調へ反転するには、開発型証券化も含めた地方案件の活性化が不可欠の要素となろう。
物件動向
5月29日週の物件動向は以下の3件の発表があった。内訳は用途別で見ると商業施設1件、物流施設2件、地域別で見ると関東1件、九州2件である。
- a.茨城県つくばみらい市:「三井不動産ロジスティクスパークつくば」計画
- 5月31日、三井不動産株式会社がつくばみらい市で進めていた「三井不動産ロジスティクスパークつくば(略称:MFLPつくば)」開発計画について同日付での着工を発表した。
当該計画は、常磐自動車道「谷和原IC」から約7.8km、同「谷田部IC」から約4.8kmに位置する敷地に地上3階建て、延床面積約2.6万㎡の物流施設を建設するというもの。竣工は2018年3月末を予定している。
テナントは既に決定しており、丸紅ロジスティクス株式会社が1棟借りをしてスポーツアパレルやフットウェア商材の物流拠点として利用するという。
- b.福岡県福岡市:「MARK IS 福岡ももち」計画
- 6月1日、三菱地所株式会社(以下、三菱地所)が商業施設「ホークスタウンモール」の跡地再開発について商業施設棟の建設に着手したと発表した。
発表によると、建設される商業施設の規模は敷地面積約4.2万㎡、延床面積約12.5万㎡、店舗数は150~200で駐車台数は約1,300台というもの。開業は2018年秋の予定だが、商業施設ブランドとしては国内3件目となる「MARK IS」を投入する辺りに三菱地所の力の入れようが窺える。
また隣地(同じ「ホークスタウンモール」跡地内)では三菱地所レジデンスがタワーマンション2棟の開発計画を進めており、両開発計画の結果が出そろう2020年下期には、住居と商業施設が近接した利便性の高い(商業施設側から見ると固定客を作りやすい)状況が生まれる点も注目される。
- c.佐賀県鳥栖市:「ロジスクエア鳥栖」計画
- 6月1日、物流不動産の開発・投資を手掛ける株式会社シーアールイーが、佐賀県鳥栖市で物流施設開発を着工したと発表した。
発表によると、開発地は長崎自動車道「鳥栖IC」や国道3号線、そしてJR貨物の鳥栖貨物ターミナル駅に近い敷地約1.6万㎡。そこに地上2階建て、延床面積約1.8万㎡のマルチテナント型物流施設を開発するという(竣工予定は2018年2月末)。
今後、環境性能の高さを明示するため、国土交通省の推進する省エネ性能指標「BELS評価」を取得する予定。