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2017年07月24日
三井不動産、物流施設事業への累計投資額が4,000億円到達へ
7月17日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
7月21日、三井不動産株式会社(以下、三井不動産)が物流施設事業「三井不動産ロジスティクスパーク」で新たに6棟の物件開発を決定し、事業を開始した2012年4月以来の累計投資総額が4,000億円に到達する見込みであると発表した。
発表によると新たに開発計画が発表された6物件は、地域別で見ると関東6件、近畿が1件となっており、2018年から2020年にかけてそれぞれ竣工する予定。
三井不動産がスポンサーとなっている物流施設特化型J-REIT「三井不動産ロジスティクスパーク投資法人」は、中期的な資産規模目標として2,000億円を掲げている(2017年3月時点)。現時点での資産規模(取得価格ベース)は755億円だが、スポンサーである三井不動産は今回発表した開発計画も含めてコンスタントに物流施設開発を進めていく意向を示しており、同投資法人の外部成長も安定的に続くものとみられる。
物件動向
7月17日週の物件動向だが、主なものとして以下の3案件が発表された。内訳は地域別で見ると都心、近畿、九州・沖縄が1件ずつ。用途別では複合施設1件、ホテル2件となっている。
- a.東京都文京区:「本郷真砂南地区市街地再開発」計画
- 7月18日、野村不動産株式会社が文京区本郷4丁目で進んでいる「本郷真砂南地区市街地再開発」計画の事業協力者に選定されたと発表した。
当該再開発計画の対象となる敷地は都営三田線、大江戸線の「春日駅」、そして東京メトロ南北線の「後楽園駅」に近接した立地で、そこに住居や商業施設で構成される複合施設を建設する。
工事の着工は2021年9月、竣工は2024年3月をそれぞれ予定しており、防災・防火に不便な狭隘道路や住宅の密集状態を解消することに繋がると期待されている。
- b.沖縄県宮古島市:「(仮称)沖縄伊良部島計画」
- 7月18日、森トラスト株式会社が沖縄県宮古島市に属する伊良部島で進めているホテル開発計画について、同日付で着工したと発表した。
当該計画は、リゾートとして有名な「渡口の浜」に近接した海岸沿いの敷地約9,000㎡(うち建築面積は1,800㎡)に、地下1階地上4階、延床面積約5,500㎡、客室数約60室のラグジュアリーホテルを開発するというもの(2018年内開業予定)。
森トラストがスポンサーを務めるホテル特化型J-REIT「森トラスト・ホテルリート投資法人」の保有物件4件(2017年2月時点)の客室数(150~624室)と比較するとやや小振りな感はあるが、今後当該ホテルが森トラスト・ホテルリート投資法人のパイプラインに加わってくるか興味深い。
- c.大阪府大阪市:「(仮称)karaksa hotel Shin-Osaka Premier」計画
- 7月20日、佐川急便等グループ会社の不動産運用を担当しているSGリアルティ株式会社と幅広い不動産経営サポートサービスを提供する株式会社ザイマックスが、協力して大阪市でのホテル開発を行うと発表した(以下、それぞれSGリアルティ、ザイマックス)。
発表によると、ホテル開発の対象地はSGリアルティが保有する大阪市淀川区の土地約2,100㎡で新大阪駅まで徒歩4分という立地。そこにザイマックスが地下1階地上24階、延床面積約18,000㎡、客室数約400室のホテルを建設する(2019年末開業予定)。
保有不動産の有効活用を図るSGリアルティとホテル事業の拡大を狙うザイマックスの思惑が上手く一致した当該案件だが、両社はこれまでにも連携して私募REIT「SGAM投資法人」を立ち上げている。SGAM投資法人自体は物流施設特化型であるため、今回の開発案件から直接的な影響を受けることはないとみられるが、SGリアルティとザイマックスの協力関係は今後も注目される。