REIT注目記事
住友商事、米国不動産ファンドを組成し、運用を開始
7月31日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
8月4日、住友商事株式会社(以下、住友商事)が100%子会社住商リアルティ・マネジメント株式会社を通じて今年6月に米国不動産を投資対象とする私募ファンドを組成し、運用を開始したことを発表した。
発表によると組成されたファンドの名称は「USプライムオフィスファンド1」。国内機関投資家からの投資を受け入れ、発表時点での資産規模は350億円。
住友商事は日本国内の低金利とクロスボーダー投資の環境整備で国内機関投資家の米国不動産に対する関心・ニーズが高まっていると判断し、今後も「USプライムオフィスファンド」ブランドでの私募ファンドを継続的に組成していく考え。
現時点ではJ-REITのスポンサーとはなっていない住友商事だが、2016年度末時点では国内外合わせて8,200億円相当の不動産を所有しており、引き続き不動産ファンド事業での動向を注目したい。
8月4日、阪急不動産株式会社が駐車場シェアリング・予約サービスを展開しているakippa株式会社、そしてリノベーションを手掛けるハプティック株式会社との業務提携を発表した(以下、それぞれ阪急不動産、akippa、ハプティック)。
この業務提携により、阪急不動産が現在展開している、空き家オーナーを対象として空室管理、賃貸管理、売却といった各種サービスを提供する「阪急の空き家サポート」のメニューにakippa社が提供する駐車場シェアリング・予約サービスやハプティック社によるリノベーション・サービスが加わる。
各地の地主層が節税目的でアパート・マンションを陸続と供給する一方、人口の減少、都心回帰の進展で空き家の数は右肩上がりを続けており、2013年時点でその数は820万戸にも及んでいる。この空き家の余剰解決に向けて政府は不動産特定共同事業法の改正等で対応しようとしているが、民間の側でも今回の阪急不動産のような積極的な取組が増えることが期待される。
物件動向
7月31日週の物件動向だが、主なものとして以下の2案件が発表された。
- a.愛知県名古屋市:「(仮称)広路町学生マンション」計画
- 7月31日、東急不動産株式会社が名古屋市昭和区で進めていた学生マンションの開発計画について同日付での着工を発表した。
当該開発計画は、名古屋大学や中京大学、南山大学といった教育機関やその他の研究施設、文化施設が集積する文教エリアに隣接した敷地約1,000㎡に、延床面積約1800㎡、戸数60戸の学生マンションを建設するというもの。竣工は2018年3月を予定している。
これまでにも東京都で学生マンション事業を展開していた東急不動産だが、東海圏では当該案件が初。学生マンションのプロパティマネージャーとして実力に定評のある学生情報センターをパートナーとし、どこまで事業を成長させていけるか興味深い。
- b.埼玉県川越市:「MFLPプロロジスパーク川越」計画
- 8月3日、三井不動産株式会社(以下、三井不動産)とプロロジスが、共同開発計画を進めていた物流施設「MFLPプロロジスパーク川越」について同日付で起工式を挙行したと発表した。
当該開発計画は、関越自動車道「川越IC」から車で7分、西武新宿線「南大塚駅」から徒歩6分の敷地約5.9万㎡に延床面積約13.1万㎡、地上4階建てのマルチテナント型物流施設を建設するというもの。竣工は2018年10月を予定している。
三井不動産とプロロジス、J-REITスポンサー企業同士による今回の開発だが、三井不動産は過去にGLPと組んで物流施設「GLP・MFLP市川塩浜」を開発している。当該物流施設は現在GLP投資法人と三井不動産ロジスティクスパーク投資法人が信託受益権を半々ずつ所有する形となっており、今回工事が始まった「MFLPプロロジスパーク川越」についても、仮にJ-REITが所有することになれば同様の形態となることが想定される。