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三菱商事、日本初の総合型インフラファンドを組成
12月11日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
12月11日、三菱商事株式会社(以下、三菱商事)が子会社を通じて日本初の総合型インフラファンドを組成した。
組成されたファンドの名称は「丸の内インフラストラクチャー投資事業有限責任組合」で、三菱商事の100%子会社である丸の内インフラストラクチャー株式会社が運用を担当する。当該ファンドの特徴は「総合型」を謳っている通り、エネルギー分野の他に交通や通信といった幅広い分野でのインフラ施設を投資対象としていることである。日本国内において今までにも多数のインフラファンドが上場、非上場問わず組成されてきたが、いずれも投資対象を再生可能エネルギーや空港のコンセッションといった特定の分野に限定したタイプであった。分野を跨いで投資を行う形態のファンドの組成は今回が初となるが、三菱商事はこれまで蓄積した海外の配電、道路、港湾施設といった各種インフラ事業への投資・運用ノウハウが生かせるものと運用に自信を示している。
当該ファンドに出資する投資家としてはみずほ銀行や東邦銀行、民間資金等活用事業推進機構等の名が挙がっており、既に300億円の出資コミットが集まっている。これについて当該ファンドは最終的に1,000億円まで出資コミットを拡大させる方針を示しており、手始めとして2018年前半には出資コミットを500億円まで拡大させるという。
当該ファンド自体は非上場だが、日本初の総合型インフラファンドとして成功をおさめ、現時点で太陽光一色となっている東証インフラファンド市場の多様化を促進する触媒になることを期待したい。
物件動向
12月11日週の物件動向だが、主なものとして以下の2件の発表があった。
- a.東京都港区:「(仮称)北青山二丁目計画」
- 12月11日、三菱地所株式会社が港区北青山二丁目で進めていた再開発計画の着工を発表した。
当該計画は長らく地域のランドマークであった「青山ベルコモンズ」の跡地約2,200㎡に地下2階地上20階、延床面積2.3万㎡のビルを建設し、ホテルやオフィス、商業施設からなる複合施設として活用するというもの。
順調に工事が進めば2020年4月末には竣工を迎える予定。
- b.神奈川県川崎市:「ロジポート川崎ベイ」計画
- 12月15日、ラサール不動産投資顧問株式会社、三菱地所株式会社、株式会社NIPPOの3社(以下、それぞれラサール不動産投資顧問、三菱地所、NIPPO)が共同開発計画を進めている大型物流施設について着工を発表した。
3社が共同で開発計画を進めている物流施設は、東京や横浜へのアクセスに優れた川崎市川崎区の敷地約13.5万㎡に地上4階、延床面積約30万㎡、ランプウェイ2基のマルチテナント型大規模物流施設を開発するというもの。延床面積は竣工予定の2019年5月時点で物流施設としては日本最大だという。
当該物流施設の共同開発企業のうち、ラサール不動産投資顧問と三菱地所はそれぞれ物流施設特化型J-REITのスポンサー企業でもあり、将来的にそれぞれのJ-REITのパイプラインに竣工後のロジポート川崎ベイが加わることも想定される。