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はじめての不動産実務入門 三訂版
森田 義男 (著)
はじめての不動産実務入門 三訂版 金融マンが知っておきたい本当の常識
前回は個人投資家として実物不動産投資を行う際に注意すべき点、心がけるべき点を記載した書籍を取り上げましたが、今回は少し視点を変えてみたいと思います。
そこで今回取り上げるのは「はじめての不動産実務入門」です。
当該作品の内容は、お金を貸す立場の銀行員が融資の可否を判断するにあたって必要とする不動産の知識やノウハウをまとめたものです。
このように書くと何やら難しそうな印象を受けてしまうかもしれませんが、銀行員とて全てが「不動産のプロ」ではありません。業務の都合で初めて不動産と向き合うことになった行員も少なくはないのです。そうした層を読者として想定しているため、本書の記述は至ってわかりやすいものになっています。
そんな本書は、全8章で不動産に係る法規制、不動産の価値・収益性を評価する際の手法や注意点、売買取引の進め方、不動産取引で生じる税金といったトピックを取り上げる構成となっています。
その中でも、法規制との兼ね合いで利活用に大きな制限がかかってしまう「欠陥敷地」の見抜き方がまとまっている第2章は特に印象に残りました。
不動産に投資しようとするとどうしても「どのような不動産が良い不動産か」に注目してしまいがちですが、絶対に引いてはいけないババの見抜き方もそれに負けず劣らず重要なポイントです。
それがまとめられた第2章は、投資目的に限らず、マイホーム目的で不動産の取得を考える際にも有用なヒントを与えてくれるでしょう。
企業と違って資金調達手段が限られている個人が実物不動産に投資する場合、銀行からの借入れが重要な意味を持つことは言うまでもありません。
本書を通じて狭い意味での不動産知識のみならず、銀行員が不動産を見る際の視点を習得し、そこから「お金を貸す立場から見てこの不動産への投資はどう見えるだろうか」と考える習慣をつけることは、銀行との良好な取引関係を築くことに繋がるとともに、不動産投資での成功確率をより高めてくれるのではないでしょうか。