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外国為替の知識<第4版>
国際通貨研究所 (編)
外国為替の知識〈第4版〉 (日経文庫)
「外国為替」、一見すると普段の生活から縁遠い物事のように思える文字面です。
しかし、その動向は、海外取引の多い大企業の業績、日本が外国から輸入する様々な物品・サービスの値段といった様々な経路を経て景気の好不調、ひいては我々の懐の温かさに無視できない影響を及ぼしています。
また最近ではネットを通じたFX投資や個人輸出入が個人にも広まっているため、外国為替の動きによってよりダイレクトに財布の厚みが変わってくるという人も少なくないことでしょう。
そして現物不動産やJ-REITにとっても外国為替は全く縁のない話ではありません。
ここ数年、海外投資家による日本不動産、J-REITへの投資が活発化しています。
その背景には日本円の交換レートが外国通貨に対して比較的安い水準(円安)にあるので他国に比べて日本の不動産やJ-REITのお買い得感が増していることがあります。
また円安で割安となった日本の商品やサービスを求めて押し寄せる外国人観光客は、商業施設やホテルの業績を改善させるのみならず、更なる需要を見込んだ新規開発をも引き起こしています。
国境を越えたヒトやカネの動きが拡大する中、それに比例して外国為替が不動産に与える影響も増しつつあるのです。
では、その外国為替市場はどのようなルールや制度で運営されているのでしょうか。
その情報をコンパクトにまとめたのが日本経済新聞出版社の『外国為替の知識』です。1版が2001年に出版されて以来、市況や制度の変更を反映してアップデートを続けてきた本書は、2018年に話題の仮想通貨も取り上げた第4版を出すまでに至りました。
「貿易戦争」とも形容される米中間の通商対立、世界の燃料庫たるペルシャ湾を挟んで対立を深めるサウジアラビアとイラン、ロシアの軍事的脅威と域内諸国の財政格差に呻吟するEU、米国の利上げをトリガーとする資本流出に脅える新興国と、今まで続いてきた「適温経済」の持続性に暗雲が立ち込めつつある今、カネが世界を駆け巡る仕組みを本書で再確認し、来たる不透明性に備えるというのは如何でしょうか。