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三井物産、私募REITの運用開始
2月26日週のニュース概観
(写真/iStock)
概況
2月28日、三井物産株式会社(以下、三井物産)が先だって組成されていた私募REIT「三井物産プライベートリート投資法人」の運用開始を発表した。
三井物産プライベートリート投資法人はオフィスや住居の他、ホテル、物流施設やデータセンター等を投資対象とした総合型私募REITで、三井物産の100%子会社三井物産リアルティ・マネジメント株式会社によって昨年12月に組成されていた。
運用開始時の保有物件は4件で、その中の品川シーサイドパークタワーと東京フロントテラスはJ-REIT投資法人みらい(三井物産とイデラキャピタルがスポンサー)との準共有。そして4月には大東ディストリビューションセンターの取得が予定されている。この時点で資産規模は320億円となるが、今後5年以内の1,000億円到達を目指して運用が行われていくという。
先述のように三井物産は既にJ-REIT投資法人みらい(こちらも運用タイプは総合型)のスポンサーとなっている。今後、物件取得において投資法人みらいと三井物産プライベートリート投資法人がどのような棲み分け、協力を見せていくか注目される。
同じ2月28日、大和証券オフィス投資法人が自己投資口の取得を発表した。
取得期間は3月1日から5月18日まで。取得上限口数は8,000口(発行済投資口数の1.6%)で取得上限金額は50億円。取得期間内に取得口数か取得金額のどちらかが上限に達した時点で自己投資口取得は終了となる。
投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)の改正でJ-REITの自己投資口取得が可能となってから5例目となる大和証券オフィスオフィス投資法人の自己投資口取得だが、取得上限金額は歴代第2位の規模(第1位は日本リテールファンド投資法人の100億円)。
自己投資口取得の原資としては旗艦物件新宿マインズタワーの一部譲渡等で生じた余剰資金300億円の一部が充てられるという。余剰資金が全額新たな物件取得に回らないあたりから物件取得環境の厳しさが感じられる。
これも同じく2月28日、大阪から和歌山にかけて鉄道事業を展開している南海電気鉄道株式会社(以下、南海電鉄)が今後不動産事業に一層注力する姿勢を明らかにした。
同日付で発表された「南海グループ経営ビジョン2027」と新中期経営計画「共創136計画」によると、南海電鉄グループは2027年までに営業利益の過半を不動産事業で稼ぎ出す体制とすることを目指し、その第一歩として2018年度から2020年度の3年間で400億円を投資するという。同期間の鉄道事業への投資額が390億円であることを考えると、不動産事業にかける南海電鉄の意気込みが強く感じられよう。
南海電鉄に限らず、鉄道会社の多くは利幅の薄い鉄道事業を不動産事業の稼ぎで支える事業構造となっており、JR九州では不動産事業を地盤の九州を超えて東京、さらには海外で展開するまでになっている。駅近の一等地といった保有資産の活用策も含め、鉄道各社の不動産事業は今後も引き続き目が離せない。
物件動向
2月26日週の物件動向だが、主だったものとして以下の案件があった。
- a.東京都江東区:「潮見ホテル開発計画」
- 2月27日、有限会社潮見ランドパークが江東区潮見で大規模ホテルを開発し、その運営を株式会社プリンスホテルが受託することが判明した(以下、それぞれ潮見ランドパーク、プリンスホテル)。
同日付でのプリンスホテル発表によると、潮見ランドパークはJR京葉線「潮見」駅から徒歩1分の敷地約1万㎡に2018年7月着工、2020年夏開業というタイムスケジュールで開発し、運営をプリンスホテルに委託するという。
気になるホテルの規模は、地上11階、延床面積約3.3万㎡、客室数605室というもの。運営を受託するプリンスホテルは、東京駅と東京ディズニーランドの玄関口となっている舞浜駅の中間地点にある潮見の地の利を生かし、レジャーからビジネスまで幅広い需要を取り込めるものとみている。
なお潮見駅一帯では昨年センコーグループが2019年開業予定でホテル(客室230室)開発に乗り出しており、今後ホテル開発がさらに活発化してくるか注目される。