REIT注目記事
東急不動産のホテル事業、沖縄と大阪に初進出
6月4日週のニュース概観
(写真/iStock)
概況
6月6日、東急不動産株式会社(以下、東急不動産)がホテルブランド「東急ステイ」の沖縄、大阪初進出を発表した。
発表によると、まず沖縄県の案件は、那覇市の沖縄都市モノレール線「壷川駅」から徒歩3分の位置にある敷地約4,000㎡に地上11階、延床面積約2万㎡、客室数203室のホテル「(仮称)東急ステイ那覇」を開発するというもの。主に内外の観光需要の取り込みを狙っていくという。
続いて大阪府での開発案件は、大阪メトロ堺筋線「堺筋本町駅」や大阪メトロ御堂筋線「本町駅」からいずれも徒歩5分以内の敷地約900㎡に地上18階、延床面積約9,000㎡、客室数259室のホテル「(仮称)東急ステイ大阪本町」を開発するというもの。こちらは沖縄案件とはやや顧客対象が異なり、観光客の他にビジネス客もターゲットとしている。
両案件とも2019年冬の開業を目指して開発を進めていくという。
なお現時点で東急不動産グループが運営しているホテル(いずれも「東急ステイ」ブランド)は20件に及ぶが、うち都内が18件、京都市1件、札幌市1件とやや東京偏重の地域構成となっており、東急不動産は今回発表した2案件を含めて7案件を地方で進め、より広範にホテル需要を獲得していこうとしている(7案件の内訳は福岡市2件、京都市2件、札幌市1件、那覇市1件、大阪市1件。2019年冬には全て開業している見込)。
6月8日、物流施設の開発・投資・運営事業を展開している株式会社シーアールイー(以下、CRE)が2018年7月期第3四半期決算を発表した。
総じて増収増益の好調な決算内容だったようだが、同時に発表された決算説明資料の中で興味を引いた点を紹介したい。
まず他社との共同という形で昨年進出したセルフストレージ事業について、将来的に特化型ファンドを組成する意向が当該説明資料の中で示された。
米国では特化型REITが登場するほどに市場の拡大したセルフストレージ事業だが、日本の市場規模はまだ米国の10分の1程度と言われている。日銀の低金利政策が長く続く中、CREのセルフストレージ特化型ファンド組成が高い利回りを求める投資家と成長資金を欲する市場とを結びつけるカスガイとなれるか興味深い。
次に、上記とも関連するがCREは投資家への販売商品ラインナップの拡充を進める方針を掲げ、不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品の開発を進める考えを示した。
J-REITのCREロジスティクスファンド投資法人のスポンサーでもあるCREだが、将来的に不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品を世に出していく場合、保有物件の割振りについてCREロジスティクスファンド投資法人と不動産小口化商品との間でどのような棲み分けを行っていくのか、こちらも興味深いテーマとなりそうである。
物件動向
6月4日週の物件動向だが、以下の案件の発表があった。
- a.神奈川県横浜市:「YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT」
- 6月4日、野村不動産株式会社(以下、野村不動産)が横浜市みなとみらい21新港地区で進めていた客船ターミナル等再開発事業「YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT」の着工を発表した。
当該計画は野村不動産と地元企業等6社が共同で推進していた再開発計画で、大さん橋や横浜国際会議場にも近い新港2丁目地区に客船ターミナル、商業施設、ホテルから成る複合施設を建設しようとするもの。
敷地面積約1.7万㎡に築かれる建物は、地上5階、延床面積約3万㎡、ホテル部分客室数約200室という規模を予定している。
当該施設は2019年内には竣工と稼働を迎える見込みで、東京オリンピックを前に海外観光客の増大を加速させることが期待されている。