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決算情報拾い読み 三菱地所物流リート投資法人
2021年8月期(第10期)決算説明資料
今回取り上げるのは、2021年4月15日に開示された三菱地所物流リート投資法人の10期(2021年8月期)決算説明会資料です。
資産運用会社は、三菱地所株式会社の100%子会社である三菱地所投資顧問株式会社にて、三菱地所物流リート投資法人は2017年9月に上場しております。
ポートフォリオ投資方針等
ポートフォリオ戦略等
当投資法人は物流施設(投資比率80%以上)を主体として、産業用不動産(投資比率20%以下)にも投資する。
地域別投資比率では、国内90%以上、海外10%以下を謳い、対象地域は、首都圏エリア(東京都・神奈川県・千葉県・茨城県)を50%以上、その他地域(近畿圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県)、中京圏(愛知県・三重県・岐阜県)等他海外を含む)を50%以下と定めている。
第10期のトピックス
1.投資環境
不動産売買取引市場においては、世界的な低金利等を背景に、国内外投資家の投資意欲は積極的であり、コロナ禍においても活発な取引が行われている。また、米国ではテーパリング開始時期や利上げ時期について議論されており、引き続き金利動向等への注視が必要であるが、投資家が投資対象を物色する動きは根強く、安定したキャッシュ・フローの見込める物流施設については、足下の取引利回りは引き続き低位で推移している。
J-REIT市場においては上昇基調の相場が続いた。東証REIT指数は2021年3月から4月にかけて1,800ポイント後半から2,000ポイント後半まで上昇基調で推移し、月3日以降は、2,100ポ イント前後で推移する等、4月以降はTOPIXをアウトパフォームして堅調に推移している。今後については、不動産賃貸市場の悪化や、金利環境の変化等に伴うボラティリティの上昇に注視する必要があると考えている。
物流施設市場では、このような状況下においても、外出自粛要請を背景としてECの利用拡大が加速している点に注目が集まっており、今後もオンライン消費の拡大や在庫拡大による物流施設需要の増加が期待される。 上記を背景に、新規供給量が高い水準にある中でも高水準の新規需要が続いており、空室率は引き続き低位で推移している。今後も高水準供給が続くものの、未竣工物件のリーシング進捗も順調であり、本投資法人のポートフォリオを含めた稼働中の物件に与える影響は限定的であると考えている。
2. 外部成長
2021年3月にロジクロス習志野、ロジクロス大阪(追加取得分40%)、ロジクロス名古屋笠寺(追加取得分40%)、MJインダストリアルパーク神戸(底地)及び MJインダストリアルパーク千葉北(底地)の5物件(取得価格合計282.09億円)を取得し、当期末(2021年8月31日)現在、本投資法人の保有資産は22物件(取得価 格合計1,704.04億円)となっている。
3. 内部成長(決算説明会資料より抜粋)
4. 資金調達の概要
新投資口の発行
第10期取得資産の取得資金の一部に充当することを目的として、公募増資により41,000口の新投資口の発行を行い、2021年3月5日に160.06億円を、またオーバーアロットメントによる売出しに係る第三者割当増資により1,898口の新投資口の発行を行い、2021年4月6日に7.4億円の資金を調達した。
これにより、当期末(2021年8月31日)現在の出資総額(純額)は1,140.28億円、発行済投資口の総口数は 391,135口となった。
資金借入れの状況
当期においては、第10期取得資産の取得資金の一部に充当することを目的として、2021年3月9日付で短期借入金35億円、長期借入金85億円、2021年3月19日付で長期借入金18億円の借入れ(株式会社三菱UFJ銀行によるJ-REIT向けESG評価ローン及び株式会社三井住友銀行によるSDGs グリーンローンを含む。)を行った。なお、2021年3月9日付短期借入金のうち8億円について は、上記第三者割当増資による手取金を含む手元資金を原資とし、2021年4月9日付で期限前弁済した。その後、2020年10月9日付短期借入金200百万円及び2021年3月9日付短期借入金のうち1,800百万円を合わせた合計2,000百万円について、第1回無担保投資法人債(グリーンボンド)発行による調達資金及び手元資金 を原資とし、2021年4月15日に期限前弁済したほか、2020年9月1日付短期借入金13億円について、 2021年2月期に取得した資産についての消費税の還付金を含む手元資金を原資とし、2021年7月1日に期限前弁済した。
これらの結果、当期末現在の有利子負債残高は592.74億円となり、LTVは32.7%となった。
主要指標(決算説明資料より抜粋)