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決算情報拾い読み ジャパンリアルエステイト投資法人
2022年3月期(第41期)決算説明資料
今回取り上げるのは、2022年5月16日に開示されたジャパンリアルエステイト投資法人(以下JRE)の41期(2022年3月期)決算説明会資料です。
JREの資産運用会社は、三菱地所100%子会社であるジャパンリアルエステイトアセットマネジメント株式会社にて、2001年9月上場した最古参のオフィスビル運用に特化した投資法人です。
ポートフォリオ投資方針等
ポートフォリオ戦略
1.地域に関するポートフォリオ構成
首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)70%以上、その他地方都市30%以下。
2.用途に関するポートフォリオ構成
オフィスビルを対象とし、これに付随する住宅及び商業施設を含む。
3.財務上の指針
LTV65%以下、目途値は30~40%を目安。有利子負債限度額は1兆円。
第41期のトピックス
1.投資環境
賃貸オフィス市場においては、これまで新型コロナウイルス感染症を契機に加速したテレワークの浸透を背景に上昇してきた空室率は、足元では一服感がみられるものの、2023年のオフィス床の新規大量供給が控える等、先行きは不透明な状況にある。賃料水準については、引き続き小幅な低下傾向にある。当投資法人においては、このような賃貸マーケット基調を背景にしつつも、ポートフォリオ全体の安定した収益及び稼働率の確保を目指し、戦略的なリーシング活動による新規テナントの誘致、及び物件の付加価値向上による既存テナ ントの更なる満足度上昇に努めた。
不動産売買市場においては、緩和的な金融政策の継続を背景として良好な資金調達環境が継続したことで、物件価格は高値圏を維持した。国内外投資家の物件取得意欲は依然として旺盛であり、優良なオフィスビルをめぐる競合状態は激しく、取得環境は引き続き厳しい状況にある。
オフィスマーケットの今後の見通し
■企業の解約ベースは減速。足元、空室率の上昇は鈍化傾向。
■拡張移転や立地改善等前向きな借室ニーズは増加している。
■賃料改定の増額基調は維持されており、この傾向は今後も継続される見通し。
■2023年の大量供給を控え、契約期間終了に伴う2次空室等、空室動向は要注視。
■地政学リスク、インフレリスクの企業動向への影響は懸念材料。
2. 外部成長
当期においては、2021年10月1日付けで、西日本最大のターミナルを含む梅田エリアに位置するオフィス、商業、ホテルからなる大規模複合施設であるグランフロント大阪(大阪府大阪市)の共有持分10%に係る信託受益権の準共有持分49%(共有持分割合4.9%)を210億円で取得した。また、2021年11月30日付けで、東京のビジネス中心地「大手町」に位置する大型複合施設である大手町フィナンシャルシティノースタワー(東京都千代田区)における事務所・店舗の区分所有区画の共有持分12.5%に係る信託受益権(建物所有割合1.42%)を63.8億円で追加取得した。さらに、2022年3月29日付けで、都心へ良好なアクセスを有する湾岸エリアの中でも、特に多様な都市機能の集積が進む豊洲エリアに位置する駅近大規模オフィスビルである豊洲フロントの共有持分24%に係る信託受益権を255億円で取得した。 一方で、2022年3月1日付けで、名古屋御園ビル(愛知県名古屋市)を26.29億円で譲渡した。
上記の結果、当期末(2022年3月31日)において、当投資法人が保有する運用資産はオフィスビル74物件、取得価格の総額11,180億円、テナント総数1,498となった。
3. 内部成長
当期の賃貸オフィス市場は上記環境にあり、解約件数の増加及びリーシング期間長期化の影響を受ける一方、立地改善や執務環境改善のための新規契約や業容拡大による館内増床が堅調に進んだため、当投資法人の当期末の稼働率は前期末比0.5%増の97.0%となり、引き続き高い水準の稼働率を維持した。
4. 資金調達の概要
当期においては、大手町フィナンシャルシティノースタワーの追加取得資金として、短期借入金及び長期借入金をそれぞれ32億円調達した。さらに、豊洲フロントの取得資金の一部に充当するため、短期借入金250億円の借入を実施した。また、長期借入金10億円を手元資金にて弁済したほか、既存借入金の返済資金に充当するための借入も実施した。
このような取り組みの結果、2022年3月31日現在の有利子負債残高は前期末比304億円増の4,498.93億円となり、内、長期借入金は3,657億円(1年内返済予定の長期借入金485億円を含む。)、短期借入金は412億円、投資法人債は429.93億円となった。総資産に占める有利子負債の比率は 43.5%となっている。
主要指標(決算説明資料より抜粋)