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「REITキーマンに聞く!」GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 川辻 佑馬氏
今回は、GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 川辻 佑馬氏に業界動向やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。
第3部 今後の成長戦略について
――外部成長戦略についてお話しください。
~ALFALINKを含めさらに強固なポートフォリオを目指す
今後もこれまで同様に安定と成長のポートフォリオを築いていく方針です。さらにALFALINKや、冷凍冷蔵物流施設といった新しいアセットを取り込むことによりポートフォリオをより強固にしていきたいと考えています。また、過去の実績として年平均で600-800億円程度の物件取得を行っており、今後も1兆円規模の豊富なスポンサー・パイプラインを活用し、継続的に外部成長を実現していきたいと考えています。
パイプラインが多いことは非常に強みだと思っております。私自身昨年まで開発のチームにいまして、GLPグループの開発物件に誇りを持っています。お客様にとって使いやすい施設をつくり続けていて、自社内にリーシングのチームがあり、施設管理もしており、ただ貸すだけではなく、貸した後の日々のオペレーションについてもテナント様と話ながら運用しています。そのようなGLPグループが提供する物流施設を継続的に開発して、市場に出し続けていくことが社会のインフラにとってプラスになると考えています。
~増資だけでなく借入れも活用しながら外部成長を目指す
一方、株価が割安な水準な状況においては、無理に増資を伴う外部成長を行うことは考えておらず、一口当たりの分配金やNAVをしっかりと成長させられるような環境が整ったタイミングにおいて、増資を伴った外部成長を実行していきたいと考えています。そのために内部成長、財務政策など様々な戦略を通じて投資主価値を向上させ、株価を引き上げていきたいと考えています。
また、資本コストを踏まえ、外部成長を行うために相対的にコストが割安なLTVの活用も検討しています。グローバル対比で日本の金利水準は依然として割安な状況でもあり、我々の鑑定LTVは34.8%と非常に低位な状況であることが理由です。取引市場・株価水準・金利動向・取得物件の特徴・将来の成長への寄与度など、様々な側面から条件を満たす場合には、LTVを活用していきたいと考えています。また、物件の売却に伴って得られた手元資金を活用した物件の入れ替えを行うということも視野に入れています。
――続いて、内部成長戦略についてお聞かせください。
~3年超の契約の約80%がCPI連動条項でインフレも内部成長の加速要因に
内部成長はGLP投資法人にとっての強みであると自負しており、高稼働率を維持しながらも上場来 23期連続での賃料増額を達成し、直近6期の再契約に伴う平均賃料上昇率は6.8%と力強い賃料増額が実現できています。
また、再契約時に賃料を改定しているだけではなく、期中に賃料改定ができているのもGLP投資法人ならではの強みです。物流施設の賃貸借契約は他のアセットと比べて相対的に契約期間が長く、BTS型の施設の場合10年といった長期契約も存在しますが、我々のポートフォリオにおける長期契約(3年超の契約)のうち約80%にCPI連動条項が導入されています。これは他社と比べても圧倒的に高い数字となっていて、物価上昇の環境においてCPI連動条項を通じて直近5-6%の賃料増額が実現できており、今後のアップサイドと考えています。
~テナント様との直接的な接点からNOI向上を図る
こうした賃料の上昇に加えて、NOI向上のための様々な取り組みを進めており、例えば契約期間中にLED化、太陽光発電設備の増設、EV充電インフラの設置といったValue Addを行うことにより様々な収益の獲得につなげているほか、コスト削減も実行しており、例えば電気代については昨今の電気代の変動を踏まえてすべての契約を見直し、現在は電気代の変動に影響を受けない契約体系になっています。
このような取り組みができる背景として、スポンサーを含めたGLPグループとしてリーシング、施設管理、エンジニアリングといった強力なチームを有していることが挙げられ、物流不動産の黎明期から携わっている経験豊富なチームの存在により、テナント様と継続的にあらゆる面において接点を持って様々な提案ができ、GLPの施設に入ることによる高い満足度と、相対的な賃料負担力の増加につながっていると考えています。
例えば我々が提供するサービスの一つに「GLPコンシェルジュ」というサービスがあります。これはテナント様の「倉庫のスペースが急に足りなくなった」「不要になったフォークリフトを買い取って欲しい」などスペース・設備関連の困りごとから「新たに人材を採用したい」「現場の作業効率を上げたい」といったあらゆる課題について、ワンストップでサポートを提供するサービスであり、我々のお客様に提供するサービスは単なる床貸しに留まらず、入居後のソフト面でのサービスまでをもカバーしています。
こうした内部成長のあらゆる取り組みについて、今後より一層注力していきたいと考えていて、それによりインフレや金利の上昇といったコストの上昇を吸収した力強い内部成長を実現していきたいと考えています。