今回は、三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 田郷岡 成紀氏、元山 清仁氏に業界動向やファンドの特長に関してインタビュー形式でお話していただきました。
(元山氏)
エンドユーザーのニーズを満たすことがテナントニーズに繋がります。
「欲しい商品が欲しいときにいつでも安く手に入る」というのがエンドユーザーのニーズですので、通販事業者にとっては「品ぞろえ」・「スピード」・「価格」が競争優位の源泉となります。また、3PLの場合でも、顧客である荷主の依頼通りに安定的に商品を保管及び配送すること、そして物流コストを抑えることがニーズであるという意味で、基本的には上記の競争優位の源泉は同じです。
普通に考えると、テナント企業が物流拠点を新設する際には、良い立地に大規模な拠点を構え、かつ、賃料負担は極力抑える、という意思決定をすることになります。実際に、首都圏においては、比較的賃料単価の低い内陸部への集約移転を志向するテナントが増えました。BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)の観点でも震災時における安定稼働を確保するために内陸部へ移転することは一定のメリットがあります。しかし、圏央道沿いで広域の物流アクセスに優れていても、人手のかかる通販系やアパレル系の荷物を扱うテナントからは、労働力の確保の観点で敬遠されるエリアもあります。
(元山氏)
通販の例で言うと、商品検索→比較検証→意思決定→商品受け取り→使用する、というエンドユーザーの行動の中で、「欲しい商品の在庫があって早く手に入る」という価値を顧客へいかに提供するかということが問われます。したがって「スピード」を追求する通販事業者が出てくるのは納得できます。しかし、生活必需品など最寄りのスーパーなどで購入したほうが早い場合がありますので、ターゲット顧客や商品ごとに、提供スピードも含め総合的な価値提供を模索する時期に入ったと思います。
今後は、受け取り方法や時間への対応がポイントになると思います。いくらスピードを高めても、エンドユーザーが受け取り時間に不在である場合があります。これは物流事業者の事業効率を損なうことにも繋がります。1つの解決策として、例えば、エンドユーザーの最寄りのコンビニエンスストア等で受け取れるのであれば「スピード」の価値はさらに高まるかもしれません。ドローンの活用も政府が積極的に進めていると聞いています。広域をカバーする大規模物流施設で荷物を大量にストックし、エンドユーザーに近い小規模の施設で細かな仕分けを行って配送する、いわゆるハブ&スポーク型の仕組みが、小売りと物流との業者間を横断的に進むのではないでしょうか。
私たちのビジネスとの関連で言えば、本投資法人が投資するような大型の施設とラストワンマイルを担う事業者とは、補完関係にあると考えています。
以上のような環境認識をしていますので、弊社においても都内近郊の優良立地に対する投資方針に変わりはありません。
(田郷岡氏)
やや専門的な話になりますが、一般的に免震構造と耐震構造ですと、若干、免震構造の方がコスト高になります。3.11の震災以降は免震構造のニーズが高まっていましたが、現在は少しおさまっている感じがします。
例えば、地域のニーズや企業のBCPを支える観点から、免震構造を採用するケースが多くありますが、3,000坪程の小規模なニーズが多い地域ではコストをかけてもなかなか利回りがとれないので免震ではなく耐震構造にする場合があります。つまり、どういうニーズがあるかによって、免震構造にするか耐震構造にするか等を検討することになります。
2014年12月に再開発が完了した八千代物流センターは、海からは遠いですが、BCP対応で企業の拠点となり得る施設という観点でPCaPC(プレキャスト・プレストレスコンクリート)免震構造にしています。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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