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2016年04月25日

「REITキーマンに聞く!」三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 田郷岡 成紀氏 元山 清仁氏

今回は、三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 田郷岡 成紀氏、元山 清仁氏に業界動向やファンドの特長に関してインタビュー形式でお話していただきました。

――免震と耐震は状況を見て判断されているということですね

(田郷岡氏)
はい。時期によって変わる建築コスト、土地の規模やテナントニーズに合わせて免震・耐震等の構造含めて、仕様を細かく選択して供給していくということが大事になります。

ただし、以前と比べて今は免震構造が提案しやすくなっています。
最近の免震構造の建物はPCaPC構造と言って、別の場所で作ったコンクリートのピースを建築現場で組み立てるという手法を使っています。コンクリートは鋼材に比べて価格が安定しているので、鉄の価格が上がってくるとPCaPC免震構造の建物が提案しやすくなります。PCaPC免震構造はLCCが低く、メンテナンスの負荷も軽いため、今後、免震構造を選択するテナントも増えてくるのではと思います。

※LCC(Life cycle cost):建物の建設費用だけでなく、企画・設計・施工・運用・維持管理・補修・改造・解体・廃棄に至るまでに必要なトータルコスト。

――テナントに合わせて開発するシーンはありますでしょうか

(田郷岡氏)
最近は計画前にテナントが確実に決まっているということは少ないので、おおよそのニーズに対して開発するという感じになるかと思います。

かつてはBTS型が中心でしたが、今はマルチテナント型が出てきて商業施設のようにテナントが小割りで入るような形に変わってきましたので、テナントが長く契約に縛られずに小回りが利く契約を結べるような外部環境に変わってきています。また、退去によりテナントを入れ替えなければいけない場合もありますので、特定のテナントだけが使える施設よりは、様々なテナントに対応可能な汎用性がある施設を投資対象としています。

※BTS(Build To Suit):物流施設の種別の一つであり、入居予定テナントの要望に応じて建築された施設のこと。

――物流施設特化型リートについて

(元山氏)
キャッシュフローのばらつきが少ない点が、投資用不動産としての物流施設の評価です。

他のアセット(オフィスビル、商業施設など)と比べると、物流施設は経済変動による影響を受けにくいと言われています。物流施設の安定性は「人口」に依存します。本や情報はたしかにオンライン化が進んでいますが、生きていく上で必要な、水・食糧・衣服等の多くの物資は、人口が急激に減らない限り物量についても安定していると思います。

また、テナントから得られる賃料が固定賃料であることも特徴です。例えば、商業施設やホテルの場合は売上変動に応じて賃料が決まる歩合制を取ることが多いですが、物流施設の場合は固定化されているためキャッシュフローのばらつきが抑えられます。そして、オフィスよりも相対的に高い利回りも、投資家への魅力の1つではないかと思います。

――非の打ち所の無いイメージの物流リートですが、例えば物流リートは投資家にとってどのようなリスクがありますでしょうか?

(元山氏)
もちろん、物流施設にもリスクがあります。例えば、大型テナントが退去する場合の空室リスクです。物流施設は1物件当たりのテナントが少なく、テナントが退去した場合の影響が少なくありません。だからこそ、テナントリレーションを築き、キャッシュフローの変動リスクを運用面でカバーできる組織体制が重要なポイントとなります。

弊社の場合は、物流施設に特化してきたため社内にノウハウが蓄積されています。この強みがキャッシュフローやNOIの安定成長に生かされていると感じています。日々の運用活動でテナント動向を把握し、変化するテナントニーズを察知したならば施設の改善提案も行います。これからも、長期的に物流施設特化型リートが高い評価を得られるために努力していきたいと思います。

※NOI(Net Operating Income):保有不動産から得られる営業純収益のことをいい、不動産の賃料収入から管理運営にかかる費用(固定資産税、修繕費など)を控除したものをいう。

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