滝田 洋一 (著)
不動産市場を見ると銀座・鳩居堂前の路線価が4,032万円で過去最高額を記録し、株式市場を見れば日経平均が2万円を突破して20年ぶりの高値水準に到達と資産価格は非常な好調下にあります。一方でこうした活況の波にバブルの予兆を見出して警戒する声も挙がっています。
果たして今の日本は再びバブルに足を踏み入れつつあるのか否か、誰もが気になる問題に、日本経済新聞編集委員の滝田洋一氏が切り込んだのが『今そこにあるバブル』という一冊です。
まず前半で著者は、街角で嗜好品・高級品の消費が海外からの観光客や投資家を巻き込みながら盛り上がっていること、そして東京都心を中心に大型再開発が活発化していることを指摘します。ではその活況をもたらしている資金はどこから流れてきているのでしょうか。
その疑問の回答が、後半部に記されています。ここでは、日本銀行の大規模金融緩和、そして日本の金融・財政政策に大きな影響を与え続けている米国の経済動向を取り上げ、大量に供給された内外の投資マネーがより有利な利回りを求めて世界中を駆け巡り、不動産や仮想通貨、新興国国債、ハイテク産業等に流れ込み、局地的なバブル状況が生じていることを明らかにしています。
最終章で著者は日本の現状に話を戻し、金融緩和・拡張気味の財政運営というアクセル、それに対する「就職氷河期世代」の凍てついたままの消費心理、リスク・バッファーとして現金保有を重視し続ける企業の姿勢といったブレーキが釣り合うことで、現在の景気は全体としては過熱でも冷え込みでもない適温状態、「いい湯だな」という状況だと言います。 そして、この適温状態が続いているうちにAIを中心とした「課題解決型産業」への投資を活発化させ、、技術革新を通じた生産性向上に結び付ける仕組みを構築できるか否かが、日本経済の将来を決める分水嶺だという指摘で本書を締めくくっています。
まえがきで著者はこの作品は「投資の指南書ではない」と明言していますが、今後、局地的なバブルの波に乗ろうとするにせよ、波を避けようとするにしろ、日本の景気について現状を俯瞰的に把握し、将来予想のための補助線を引く上で有用な一冊といえるでしょう。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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