2022年8月期(第14期)決算説明資料
今回取り上げるのは、2022年10月18日に開示された野村不動産マスターファンド投資法人(以下NMF)の14期(2022年8月期)決算説明資料です。
資産運用会社は、野村不動産株式会社の100%子会社である野村不動産投資顧問株式会社にて、NMFは2015年10月に上場しています。
物流施設、商業施設、オフィス、居住用施設その他様々な用途の施設(不動産を除く不動産等及び不動産対応証券の裏付けとなる不動産を含む。)に投資する。三大都市圏(首都圏、中京圏及び近畿圏)を中心として政令指定都市を含むその他主要都市又はその周辺地域を主たる投資対象地域とし、地域的分散は、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)を75%以上、中京圏(愛知県、岐阜県、三重県)、近畿圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)その他の都市を25%以下とする。
(不動産賃貸マーケット)
当期の不動産賃貸マーケットについては、前期同様セクター毎に状況が異なっている。
オフィスセクターは、東京都においては2020年後半以降、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う景気後退不安やテレワークの拡大を受けたオフィス需要の減退に伴い空室率の上昇が見られたが、足元では上昇に一服感が見られる。一方で、空室率は依然高止まりしている状況にあることから、募集賃料の低下は継続している。地方都市においては、東京に比べテレワークの実施率が低いことなどにより、オフィスの供給が少ない都市では空室率の低下が見られ、全般的に募集賃料は安定している。
商業施設セクターは、小売業についてはスーパーマーケットなどの生活必需品を取り扱う店舗においては底堅い動きが継続しているものの、飲食店の売上については人々の行動変容に伴いエリアにより回復状況に差が見られた。
物流施設セクターは、主要テナントであるサード・パーティー・ロジスティクス事業者や、eコマース関連事業者の需要が引き続き堅調である。首都圏では旺盛な需要が見られるものの物流施設の大量供給により空室率は上昇傾向にある。一方、近畿圏では供給が少なく空室率は低い水準を保っている。
賃貸住宅セクターは、東京都においてはテレワークの普及に伴う転出者の増加や雇用環境の変化による転入者の減少により2020年7月以降転出超過の動きが見られたが、2022年に入りコロナ禍の影響が和らぎ再び転入超過に転じた結果、足元での稼働率は堅調な動きを示している。地方都市においても、概ね堅調な稼働率となっている。
ホテルセクターは、依然厳しい状況にはあるが、第七波においては行動制限もなかったことなどから新型コロナウイルス感染症の影響は従前より和らぎつつある。
(不動産売買マーケット)
2022年上期の商業用不動産の売買高は、J-REITによる取得額が減ったため前年比で減少した。一方で、円安や欧米との金利差拡大により海外投資家の取得意欲は強まっており、賃貸住宅の大型物件の取得事例などが見られた。東証REIT指数は、2022年に入ってからは米国金利の上昇に伴い下落する場面もあったが、全般的には経済の回復期待により、2022年2月28日時点の1,877.38ポイントから2022年8月31日時点では2,033.71ポイントにまで上昇した。
当期(第14期)中に3物件(『プラウドフラット戸越銀座(取得価格:25.5億円)』、『プライムアーバン東中野コート(取得価格:70.2億円)』、『PMO浜松町Ⅱ(取得価格:55億円)』)を取得し、1物件(『一番町stear)(譲渡価格:53.8億円)』)を譲渡した。
この結果、当期末(2022年8月末日)時点において保有する物件は300物件(取得価格合計1兆917億円)、東京圏への投資比率は83.8%、総賃貸可能面積は2,173,632.71㎡となった。
各セクターにおける新型コロナウイルス感染症拡大に係る影響には違いが見られる。 商業セクターでは、まん延防止等重点措置の発出等に伴い、商業施設等への営業時短要請等が継続したが、ポートフォリオ全体の収益に対しては限定的な影響にとどまった。
オフィスセクターや賃貸住宅セクターにおいてはマーケット全体として空室率上昇や募集賃料低下といった動きが継続していたが、マーケット動向を踏まえた適切かつ柔軟なリーシング活動と、テナントの契約更改時の賃料増額による内部成長を通じて安定収益の確保を目指した運用を継続した。
この結果、当期末の稼働率は前期末同等の98.7%となった。
当期において、本投資法人は、返済期限を迎えた有利子負債249.8億円のうち247.3億円のリファイナンスを実施した。
この結果、当期末時点の有利子負債残高は5,174.6億円となり、LTVは43.6%となった。
主要指標(決算説明資料より抜粋)
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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