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マーケットコラム

金融商品取引法と不動産ファンド/池島 麻美

2007-08-10

池島 麻美


 暑い日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は夏風邪で苦しんでいて咳が止まりません。今年の夏風邪はとてもしつこいので皆様、お気を付け下さいね!

さて、以前からお話させて頂いております、金融商品取引法が、いよいよ9月から施行されます。
企業買収ファンド、ヘッジファンド、不動産ファンドなど、投資家を募るすべてのファンドが規制対象となり、証券化ビジネスを取り巻く環境が大きく変化していくことと思われます。
外国登記であっても、募集が日本であれば検査対象になるのです。あまりに厳しい検査になりすぎても外資系ファンドが日本で投資家を募らなくなって資金が海外に流出するという懸念もあるのですが。

不動産ファンドも金融商品とみなされ、投資者保護・市場の健全性が確保されることになれば、新しい投資機会が増え活性化するはず。しかしながら不動産市場の変化は当然ながらあると思うのです。
この金融商品取引法によって、不動産市場の変化として、まずは資金の質が大きく変わると思います。
これまで短期市場でハイリスク・ハイリターンを求めていた私募ファンドなどから、長期投資の安定志向の投資家が増えると思われます。
そして不動産売買市場の多重構造の変化です。
事業会社と投資家との取引から、投資家同士への取引へと変わっていくということです。
日本の不動産市場は、国際ポートフォリオの一部になりつつあります。
日本の不動産もそうなれば、海外の金融情勢によって価格の変化を受けるようになるでしょう。
この金融商品取引法は、不動産市場にとって市場参加者の国際基準へとなっていくと思うのです。
法改正は、日本の不動産市場に新しい投資機会を与えるポジティブなものになると思っております。

以下、金商品取引法のポイントをご紹介します。(金融商品取引法制の政令案・内閣府令案の概要 参照)

①横断的法制の構築
横断化
・対象商品・取引の拡大
対象商品として学校債が追加されます。
・対象業務の横断化 集団投資スキーム(ファンド)持分の自己募集
・業者が遵守すべき行為規制の横断化
「広告などの規制」「締結前の書面前の書面交付義務」「各種禁止行為」(不招請勧誘の禁止など)「損失補てんなどの禁止」

柔軟化
・業務に応じた参入規制の柔軟化
・プロ向けファンド業務は届け出制
・プロ向け取引は行為規制を簡素化

②開示制度の充実
・上場会社による開示規制の充実
四半期開示制度、財務報告に係る内部統制制度
有価証券の性質等に応じた開示制度の整備
企業の組織再編に係る開示の充実
適格機関投資家の範囲の大幅拡大
・公開買付制度の見直し(施行済み)
・大量保有報告制度の見直し(施行済み)

③取引所の自主規制業務の適正な運営の確保
・自主規制業務を行う独立性の強い組織に関する制度の導入
取引所株式の20%~50%取得・保有が可能な者の範囲

④不公正取引等への厳正な対応
・罰則引上げ(懲役10年以下など施行済み)
・「見せ玉」への課徴金・罰則の適用(施行済み

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