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マーケットコラム

J-REIT株価の特徴と課題/REITアナリスト 山崎成人

2007-08-24

REITアナリスト 山崎成人


 JREIT株価は6月初旬から調整局面に入りました。8月の米国のサブ・プライムローン問題を契機として第2弾の調整が入り、東証REIT指数で見ると、昨年の12月の水準まで戻しています。
東証が発表した7月の投資部門別売買状況では、金融機関と投資信託以外は全て売り越しになっていて、株価下落による配当率上昇という局面でも、積極的に拾おうという動きは金融機関にしか見られません。
株式の方では、個人投資家の買いが入っているのに比べると、JREITは個人投資家からも見放されているようで、ここにJREITの問題がありそうです。

今回の調整によって、予想配当率3%台の銘柄も多くなり、本来であればインカム型商品であるJREITの魅力が戻ったはずですが、それでも個人は売り越しを続けています。
何故、個人投資家が拾わないのかは定かではありませんが、少なくともJREITが個人投資家の支持と理解を得られていないという事が言えると思います。
調整局面で拾っている金融機関にとっても、この状況は決して好ましいものではなく、自らのシェアーが増えることで将来の株価ボラティリティを高めるという問題も考えなくてはなりません。
先日行われた決算説明会でも、銘柄側に個人投資家対策を尋ねた処、相変わらず消極的な答えが返ってきており、こういう調整局面でも従来の姿勢と変わりません。
どうもJREITの資産運用会社は不動産の運用業務が担当だと考えている節があり、株価対策や投資家対策は範疇外だと思っているのかも知れません。
資産運用会社には不動産業界出身者が多く、不動産関係業務しか分からないという事もあると思いますが、JREITという投資商品の性格を考えれば、不動産関係業務しかこなせない資産運用会社では物足りないとも言えます。

個人投資家説明会等で私がいつも強調しているのは、JREITは株価下落による損切り売却は必要がないという点ですが、この話をすると意外と思う投資家も多々います。
元々、JREITは、配当金目当てのインカム型商品ですので、購入時に目標とする利回りが確保されていれば、日々の株価の変動は気にしなくても良いはずです。
特に、今回のような調整局面では予想配当率がかなり上昇した銘柄も多いですので、こういう時に好利回りで取得しておいて、後は年明けまで待つという投資姿勢も必要です。
投資家の中には、調整局面は未だ続くという見方をしている人も多いと思いますが、仮に株価が調整されたとしても不動産価値が大きく下落している環境ではありませんから、何れは適正な価値にまで戻ります。
問題は適正な価値はどの水準かという事ですが、これは、不動産価値を考察すれば、ある程度明確になります。
なお、今回の調整は長い目で見ればJREITにとってプラスなはずですが、こういう調整局面を奇貨として、銘柄側が投資家対策や株価対策に積極的に取り組む姿勢が必要ですので、理解のある銘柄の動きを期待したいと思いますし、投資家もそういう銘柄を支持することで、自らの投資利益を確保するという大人の関係が必要となりそうです。

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