2008-03-31
ここにきてREITの物件取得がやや活発化しています。
年明けから不動産市場で売り物件が増えていたことと、資金調達難から買い手が少なくなっていることも影響しているのだと思います。タイトになっている金融環境の下でも、REITの有力銘柄の資金調達は順調のようですから、こういう時にこそ優良な物件や好利回り物件を取得して欲しいものです。
私も年明けから各銘柄の物件取得をウォッチしていますが、今のところ最新の不動産情勢に合わせた上手な取得例と明確に言える程の取引事例はありません。
逆に、オリジネーターから昨年の相場価格で物件を取得している例や、買い急ぎと思われるようなケースも目に付きますので、投資家にとってこの時期の外部成長は中身を詳細にチェックする必要があります。
そして、このような時期に上手な取引が出来ない銘柄は資産運用能力に問題があると考えられますので、インカム投資としての対象としては外すという見識も必要となります。
REIT以外に目を転じると、先日、三菱地所が東急リアル・エステート投資法人が保有(区分所有持分27%)している東京大手町の「りそなマルハビル」の残余持分(73%)を1,500億円強で取得したと報道されました。この取得価格のキャップレートを東急リアル・エステート投資法人の決算データから類推すると2%台前半ではないかと推測されますから、やはり最近の不動産情勢を見れば高値取得だとも言えます。
但し、現テナントのりそなHDが退去し、新たなテナントを誘致するようになれば、新規賃料による収益増によって3%近くまでキャップレートが上昇する可能性もあります。
REITでの注目例としては、3月26日に発表された日本プライムリアルティ投資法人の「新宿センタービル」の共有持分取得があります。これによって新宿副都心の超高層ビル群でのREITの保有がまた増えました。
この物件は築30年弱になりますが、予想取得キャップレートは3.8%です。 近傍類似物件である新宿野村ビルのNOI利回りは3.42%ですので、この物件と比較すれば好利回りですし、又、このようなAクラスビルの価格は今後もあまり下がらないとも予想されますので、悪いディールではありまませんが、欲を言えば4%を確保して欲しかったとも思います。
なお、このディールでは買主側に仲介手数料が発生していないことは評価出来ます。
売主は、日本プライムリアルティ投資法人のかつてのオリジネーターであった朝日生命ですし、残余持分の所有者はオリジネーターの東京建物と明治安田生命ですので、このような物件取引で関連会社に仲介手数料を落とすと言う例も多い中で、仲介を挟まなかった見識は充分に評価出来ます。
以上のように今後もREITの物件取得は活発化していくと予想されますが、今の不動産情勢は少なくとも夏までは続くと予想されますので、この間のREITの外部成長をトレースするだけでも、銘柄選別の根拠になります。投資家の方は、是非個々のディールに注目する事をお勧め致します。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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