2008-04-18
現在、国会に提出中の平成20年度税制改正要綱の中に、JREIT投資法人の導管性要件に関する改正案が盛り込まれています。
財務省の資料を見ると、 「投資法人に係る課税の特例における支払配当等の損金算入の要件について、同族会社に該当しないこととの判定を、3株主グループによる判定から1株主グループによ る判定とする。」 となっています。
この文章から類推すると、昨年11月にFCレジデンシャル投資法人で生じた上位3株主グループによって発行済投資口数の50%超が保有されたことによる導管性要件の否認が緩和される見通しです。
然しながら、FCレジデンシャル投資法人の08/02/15付プレスリリースを見ると、この税制改正を見越してか、プロスペクト・アセットマネジメントの保有割合が45.59%まで上昇しています。
従って、プロスペクトが今後約1,450口を買い増しすれば、1株主グループの保有割合が50%超となりますので、依然としてFCレジデンシャル投資法人は導管性要件の問題を抱えたままです。
一方、FCレジデンシャル投資法人に対するプロスペクトの思惑は別として、導管性要件の緩和はその他の銘柄にとっては朗報ともなります。
従来の導管性要件であれば、株価低迷している銘柄が、スポンサーに第3者割当増資を行って当面を凌ぐという手法は難しかったのですが、今回の改正が通れば、それも可能となります。
勿論、スポンサーとしても株価反転の期待が出来ないまま、易々と増資に応じてはくれませんでしょうから、保有資産を整理しながら、新たに質の高い資産を組み入れる過程での第3者割当増資という方法となるかも知れません。
更に言えば、新たなスポンサーを引き込む事も今回の改正で容易になります。
従来のオリジネーターに加えて、新たなスポンサーを見つけ、第3者割当増資を行って外部成長力を取り戻す手法も考えられますので、株価が低迷している事で動きを止めている銘柄も攻勢に出られる余地があります。
このように考えると、冒頭の税制改正はJREITにとって新たな動きの始まりとなる可能性がありますので、今後の展開が楽しみでもあります。
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